乳がん検診ではマンモグラフィや超音波(エコー)検査が一般的ですが、それぞれどのような特徴がありますか。また、検診はどのくらいのペースで行うべきでしょうか。
乳がん検診ではマンモグラフィや超音波(エコー)検査が一般的ですが、それぞれどのような特徴がありますか。また、検診はどのくらいのペースで行うべきでしょうか。
マンモグラフィは、乳房に放射線のピークがくるよう設計された機械を使う、乳房専用のX線撮影のことです。全体像が把握でき、再現性があり、技師や読影医の技量によらず比較的均一な精度が保てるため、住民検診のように広く用いられやすいです。またマンモグラフィは、触診や超音波では見つけにくいような石灰化のある乳がんの発見に特化しています。
ただし、乳腺量が豊富な若い方や授乳中は発見力が低下し、また放射線を使うため妊娠中には検査できません。乳腺やその周囲組織は白く描出され、腫瘤や乳がん組織は白いのでコントラストをつけるために乳房をうすく圧迫するので痛みを伴うことが最大のデメリットです。ちなみに、放射線の被爆量は約0.05-0.15mSvで、飛行機で東京–ニューヨーク間のフライトで浴びる被曝量の半分程度であり検査自体が健康に影響を及ぼす可能性は極めて少ないと言えます。
超音波は、乳房に超音波をあて反射波を画像化する方法で、妊娠中や授乳中でも検査できます。小さな腫瘤を発見できる、手の動きと画像が一緒に動くのでリアルタイムで性状を把握できる、乳腺量が多くても見やすいので若い人に向いているといったメリットがあります。また乳腺を確認しながら生検ができるため、乳腺診察には不可欠といえます。ただし、見える範囲が探査機の幅に限られ全体像が把握しにくい、石灰化の検出には不向き、検査技師の技量の差が精度に反映されてしまう、というデメリットが。
乳がんは30歳台後半より増え、40歳台後半から50歳台がピークなので、30歳台後半からの超音波検査と適宜マンモグラフィを追加することが理想的と言えます。自治体補助の住民検診は一般的に40歳からの2年に1度なので、目安として参考にしていただければ、と思います。家族歴がある場合、一般的に40歳でおこなう検診を30歳で始めるなど、早めの行動をより意識するといいでしょう。
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東京女子大学現代文化学部言語文化学科英語専攻卒業、JALフライトアテンダントとして乗務ののち医師の道へ。女性の健康を守るため、乳腺外科医を志す。2008年日本医科大学医学部医学科 卒業し同年より昭和大学病院初期臨床研修、2010年より昭和大学病院乳腺外科勤務。ブレストセンターで年間100例以上 の手術に携わりながら高濃 度乳腺の研究を行う。シンガポールの政府系病院(シンガポール ジェネラルホスピタル病理部2011~2012年)での研究を経て、2018年 2月よりむらさき乳腺クリニック院長。 https://murasakibreastclinic.com/
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