※本記事は2021年6月28日にCosmopolitanで掲載されました。
健康促進やダイエットなど、運動を始めるきっかけは人それぞれ。しかし、なかには「運動はすればするほど良いもの」とワークアウト中毒になり、自分を追い込みすぎてしまう人も…。たしかに運動は健康的とされていますが、何事もやりすぎは禁物でバランスが大切なもの。
本記事では、運動のしすぎで生理が7カ月ほど止まってしまったというパーソナルトレーナーのアリス・リビングさんの体験談から、運動のしすぎが心身に与える影響と、そのバランスの重要性を<コスモポリタン イギリス版>からお届けします。
「腹筋がある私」が自分の価値だと思っていた
Instagramで多くのフォロワーを抱えるフィットネス・インフルエンサーのアリスさんは、人前に立つ仕事であるがゆえに、運動と健康のバランスを保つことが難しかったことがあると吐露。
SNSでは、ジムウェアを着た姿で腹筋を披露すると、多くの褒め言葉が寄せられ、フォロワーが増えるにつれ、自分の気持ちよりも見た目を重視するようになってしまったんだとか。
「人間性ではなく、“腹筋ありきの私”が称賛されていました。自分の体やそれまでの努力を誇りに思っていましたし、気づけばこれが私のアイデンティティや価値になっていたのです」
「細くて程よい筋肉がついた体型でなければならない」というプレッシャーもあったことから、自分自身に非現実的な基準を与えてしまい、メンタルヘルスにも悪影響があったと話すアリスさん。
「私の成功は、見た目に直結していると思っていました。そのため、少しでも後戻りしたら、『(体型を)維持できていない』『努力が足りない』と言われるのではないかと心配していたんです」
どこからが“やりすぎ”がわからなかった
当時、アリスさんは週に5回ほどワークアウトをしていたうえに、どこへでも徒歩で移動し、毎日15,000歩のウォーキングは欠かさなかったそう。しかしその反動は大きく、夕方には疲れ切って寝てしまっていたとのこと。
今では自分がやりすぎていたことや、それにより自分自身にネガティブな影響があったことを認めているアリスさんですが、当時は「どこからが“やりすぎ”になるのか、決定的な数字がなくてわからなかった」と話しています。
「運動におけるゴールを達成するために、メンタルヘルスを犠牲にしていたこともあります。友人による夜の遊びのお誘いは、翌朝のジムを優先して断ったり、レストランに行っても、実際に食べたいものではなく、ヘルシーなものを注文したりしていました」
しかしアリスさんいわく、当時のフィットネス業界では、このような生活は珍しくなかったそうで、彼女自身“健康”の意味を履き違えている部分があったと話しました。
「5〜6年前は色々な意味で無秩序でした。摂取カロリーを少なく収めることとトレーニングの量が全てだったんです」
生理が止まって気づいたこと
「運動は、すればするだけいいと思っていた」と話すアリスさんが、変わらなければならないと気づいたきっかけとなったのは、生理が止まってしまったことでした。
初めの数カ月は仕事が忙しく、生理が来ていないことにさえ気づかなかったものの、いつまで経っても来ないことが心配になり、医療機関を受診することに。
医師からは、ストレス、体重の減量、運動のしすぎにより生理が来なくなる視床下部性無月経だと診断され、「元のサイクルに戻るには数カ月かかると思う」と指摘されたとのこと。
また、アリスさんのコンサルタントからも、バランスの崩れたライフスタイルが主な原因だと指摘されたそう。
「あなたはやりすぎです。体にストレスを与えることや運動のしすぎはやめて、もっと食べなさい、と言われました」
この助言がアリスさんの心に響き、運動のしすぎは心身ともに悪影響であったことに気づいたと言います。
生活習慣を改めることに
運動のしすぎによって、子どもを産めなくなることを恐れたアリスさんは、「健康」との向き合い方を改めることに。その道のりはトライ&エラーばかりで、簡単ではなかったそう。まずはワークアウト量を減らし、食事との向き合い方も変えたとのこと。
「ヘルシーかどうかを考えずに、食事を楽しむことから学ばないといけませんでした」
また、多様な“健康”の在り方を知るためにSNSでフォローする人を変えたほか、「運動しなければいけない」というプレッシャーを手放すことも決意。
「SNSでは、現実的な体型で、自分らしい人生を歩んでいる人をフォローするようになりましたね。私の信じる健康の在り方と幸せを導く助けになってくれています」
「運動しなきゃと追い込むのはヘルシーな考え方ではないうえに、そのようなモチベーションでは運動は長く続かないと気づきました」
健康と運動のバランス
試行錯誤の結果、アリスさんは5年前より10キロ増量。あらゆる場面で、ポジティブな変化として現れたそう。
「今ではよく眠れるし、トレーニングをするエネルギーも十分にあります。運動を無理強いするのではなく、楽しく向き合っています」
「多くのことを犠牲にして、“理想の体”を目指していました。どうか私の失敗に続かないで」と、トレーニング中毒だった頃と現在の姿を比較したアリスさん。
ここまで何年もかかったけれど、今ではようやく健康と運動のバランスを見つけられ、今までで一番の幸せを感じられているそう。そして、この学びをシェアするために、それぞれのゴールに合わせた生活習慣を提案するアプリ「Give Me Strength」も制作。
「運動は私たちのためになりますが、健康的なバランスを見つけることが大切です。どんなに良いことも、やりすぎは逆効果なのです」
※この翻訳は抄訳です。
Translation: Haruka Thiel