最近よく耳にする「フェムテック」という言葉。生理、妊娠、セックスをはじめとする女性の健康的な毎日をサポートするだけでなく、人生をも変えてしまうかもしれないパワフルな市場に改めてフォーカス! 生理用品ブランド「ナギ(Nagi)」やエンパワーメントメディア「ブラスト(BLAST)」を運営するBLAST Inc.CEOの石井リナさんがナビゲート。
「フェムテック」とは? まずは基本をチェック!
女性の身体やライフスタイルに前向きなソリューションを与えてくれるフェムテック。石井さんに基本情報をASK。
「フェムテック」の言葉の意味は?
「『フェムテック(Femtech)』とは、フィーメール(Female)とテクノロジー(Technology)を掛け合わせた造語で、テクノロジーで女性が抱える健康問題やライフスタイルをサポートするサービスやプロダクトのこと。生理をデータに基づきトラッキングしてくれるサービス『Clue』のCEOアイダ・ティン(Ida Tin)がフェムテックという言葉の生みの親と言われています」(『ブラスト(BLAST」』CEO 石井リナさん)
フェムテックがサポートする分野は?
「月経、不妊、妊娠、出産、更年期、セクシュアルウェルネスなど、女性特有の身体の悩みを中心に、フェムテックがサポートする分野は多岐に渡ります」(石井さん)
なぜ盛り上がっているの?
「フェムテックの盛り上がりの背景には、働く女性の増加により可処分所得が増加したこと、女性起業家・女性投資家の増加、#MeToo運動に端を発する女性をエンパワーする潮流などが背景にあります」(石井さん)
女性の生活や社会にどんな変化が起こる?
「女性のキャリアやライフスタイルの選択肢が増えると思います。自身の生理に向き合ったり、バースコントロールがさらにしやすくなったり、育児がしやすくなったり、セルフプレジャーによる喜びを知ったり……。女性へのエンパワーという文脈においてもフェムテックは欠かせないジャンルだと思います」(石井さん)
今後もフェムテックは拡大する?
「スタートアップ投資業界はいまだに男性が大半を占めていますが、フェムテックへの注目は加速化し、更に女性の投資家も増えることが期待されています。2025年には世界で約5兆円規模になるという見込みもされています」(石井さん)
海外で話題の「フェムテック」サービス&ブランド4選
リナさんが注目している海外のフェムテックのサービスやをご紹介。最先端のアイデアは、見ているだけでもワクワクする!
1.CBDを配合したタンポン「ダエ(Daye)」 from イギリス
生理痛を抑える効果があるとされる大麻由来の「CBD」をタンポンに配合。発売前から予約が殺到したそう。
2.セックストイ「デイム・プロダクツ(Dame Products)」from アメリカ
コロンビア大学出身の心理学者と、マサチューセッツ工科大学出身のエンジニアの2人の女性が立ち上げたセックストイブランド。優れた機能性とデザイン、カップルで楽しんで使うことができるのが特徴。
3.不妊検査カー:「カインドボディー(Kindbody)」from アメリカ
NYを拠点に、バスを使ったポップアップクリニックを展開。気軽に不妊検査を受けることができ、自分の妊娠出産のタイミングを考えるきっかけにも。
4. ウェアラブル搾乳機「ウィロウ(Willow)」 from アメリカ
バッテリーとボトルを内蔵しブラジャーの中に着用することができる、ウェアラブル搾乳機を展開。搾乳しながら他の活動をすることが可能で、授乳期のママのライフスタイルをアクティブにしてくれる。
日本で話題の「フェムテック」サービス&ブランド4選
リナさんが注目している日本のフェムテックのサービスやをご紹介! オンラインでも手に入りやすいので、フェムテック入門としてぜひ取り入れてみて。
1.生理用品:「ナギ(Nagi)」
石井リナさんが手がける生理用品ブランド。2020年5月にローンチされたばかりの吸水ショーツは、機能性・デザインともに優れていて、ナプキン要らずで軽やかに毎日が過ごせると話題!
2.台湾漢方:「デイリリー(DAYLILY)」
台湾に根付いた漢方文化を、女の子に受け入れやすくモダンにアレンジ。PMSをはじめとする心身の不調を整え、自分らしく日々を過ごす手助けをしてくれる。
3. PMS緩和バスボム:「UNBD」
健康とメンタルヘルスの向上をミッションに掲げ、まだ海外製品が多い大麻由来の「CBD」を配合した商品を展開。PMSのを症状を和らげるバスボム「Fem(フェム)」は画期的!
4. セルフプレジャー・アイテム:「イロハ(iroha)」
女性向けのセルフプレジャー・アイテムブランド。いままでにない洗練されたデザインと安全性で、女性のセクシュアリティをオープン&ポジティブにサポート!
フェムテックを知るとどんないいことがあるの? リナさんから読者へメッセージ!
「出産や妊娠について、おそらく多くの人が、自分自身と向き合う機会があるのではないでしょうか? 今までは『年齢による制限がある』というのが、妊娠出産の常識的な考えだったと思います。でも、例えば卵子凍結がもっと身近になれば、自分のキャリアやライフスタイルの選択肢がもっと広がるかもしれません。『自身の身体をコントロールすることは、人生をコントロールすることにつながる』と私たちは考えています。まずは、知ることからはじめてみてくださいね!」(石井さん)
PROFILE
石井リナ/BLAST Inc.代表
学生時代から「ELLE girl labo」にてリアルイベントの企画や運営に携わる。広告代理店やベンチャー企業を経て2018年1月に起業し、同年3月から女性をエンパワーするメディア『BLAST』を運営。会社員時代の経験を生かし、SNSコンサルタントとしても活躍。ミレニアルズなどの若年層マーケティングを得意とする。『アドタイ』、『朝日新聞デジタル』、『フォーブス ジャパン』などでの連載も好評。2019年に「フォーブス ジャパン」の「30 UNDER 30 JAPAN 2019」に選出された。