先進国では20~30年前から導入されていた経口中絶薬が、日本では2023年まで承認されなかったことに驚いてしまいます。これはなぜなのでしょうか? また費用が高額に設定されている背景は?
先進国では20~30年前から導入されていた経口中絶薬が、日本では2023年まで承認されなかったことに驚いてしまいます。これはなぜなのでしょうか? また費用が高額に設定されている背景は?
経口中絶薬の必要性が認められなかったことが大きな要因だと考えられます。また海外で承認された薬の導入には、日本で生活を送る人の安全性を確認するための治験制度があり、そのために追加の時間やコストがかかります。
一部の国では新薬を承認する際、多数の患者をもとに行われた海外の治験を参照できますが、日本では、日本人での治験が求められているという背景があるのです。
その調査のためのコストも反映され、基本となる薬価が高い傾向にあります。クリニックによって多少異なりますが、経口中絶薬の処方は自費診療で10万円前後に設定されています。
また2023年4月の導入後もこの薬の普及はスローなようですが、世界的にみても新薬の導入からすぐに認知が進むことはまれで、10年で5割/20年で7~8割の認知度になる傾向が見られます。
意識の変化や薬の存在が知られていくには時間を要すると思いますが、すでに経口中絶薬が中絶の選択肢にある他国のように、徐々に使用割合が増えていくと考えられるでしょう。
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1985年東京大学医学部卒、医学博士。産婦人科医としての長年の経験をもとに女性のための包括的な健康支援の重要性を広く社会に訴えている。研究活動、教育活動にも力を入れており、多数の研究成果と優秀な産婦人科医の育成を通して日本の産婦人科医療の向上に努めている。多くの学会の役員、中央官庁委員としても女性の健康問題に取り組んでいる。2013年より現職。
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