気になるデリケートゾーンのかゆみやにおい……。帝人の調査によると、20〜40代の働く女性300人のうち、3人に1人がデリケートゾーンのかゆみやにおい、ムレなどによって仕事や生活に影響した経験があるそう。この不快な症状の原因は、膣内に存在する乳酸菌が減少すると乱れる「膣内フローラ」が関係しているそう。
そんなデリケートゾーンの不調を防ぐには、膣内フローラの仕組みを知り、正しい知識でケアすることが大切。今回は、デリケートゾーンの不快な症状と膣内フローラの関係を、東京大学 医学部 産婦人科学教室 准教授の原田美由紀先生にインタビュー。
膣内には善玉菌と悪玉菌が存在する
膣のなかには、善玉菌と悪玉菌の常在菌が存在し、これら菌のバランス(細菌叢)のことを「膣内フローラ」という。
女性の体には、バランスを正常に保つ自浄作用が備わっているが、膣内の環境はかなりデリケート。体調やストレスによって、膣内フローラのバランスが崩れてしまう。
注目を集める細菌叢(フローラ)
「膣内フローラ」という言葉を聞いたことがある人も多いはず。腸内の壁に並ぶ常在菌が花のように見えることからフローラ(細菌叢)と呼ばれる。膣内フローラも、膣に存在する常在菌のパターンのことを指す。
実験手法の進歩により細菌全体のバランスを総体として解析することができるようになったことで、フローラ(細菌叢)に注目が集まっている。
「腸内フローラという言葉が広く知られているように、腸内細菌叢が最初に注目されてから、細菌叢の役割の重要性が徐々に明らかにされ、そこから膣、皮膚など体のさまざまな部位の細菌叢に注目が広がってきています」(原田美由紀先生)
善玉菌が悪玉菌の繁殖を防ぐ
おりものが少しすっぱいにおいがするのは、善玉菌である乳酸菌が膣の健康を守っているから。
善玉菌が優勢な状態で膣内フローラのバランスが整った状態だと、乳酸菌などの働きで膣内が弱酸性に保たれる。弱酸性は、善玉菌が働きやすいプラスな環境で、悪玉菌の侵入を防いでいる。
悪玉菌の繁殖がデリケートゾーンのトラブルに
一方で、膣内フローラのバランスが崩れると乳酸菌が減少し、悪玉菌が繁殖してしまう。
悪玉菌が優勢になってしまうと、かゆみや悪臭、おりものの変化などデリケートゾーンのトラブルが発生するリスクも。
「善玉菌のほうが弱いので、たとえば抗生物質などを使用した場合に善玉菌が減ってしまうなどの原因が考えられます。また、免疫能が低下している状態も、悪玉菌が優勢になってしまう原因です」(原田美由紀先生)
膣内フローラは誰にでも影響が出やすい
腸内フローラと同様で、膣内に存在する菌のパターンは、食生活や生活の環境によって、ひとりひとり異なるもの。
年齢や体質で差があるものの、膣内フローラのバランスは幅広い年齢層に影響があると考えられている。
「善玉菌である乳酸菌は、女性ホルモンの影響を受けるとされています。個々の体質と関連するかまでは定かではありませんが、実際に診療をしていると腟症状を繰り返す方がいらっしゃいますので、体質や生活習慣の影響もあるでしょう」(原田美由紀先生)
膣カンジダは悪玉菌の影響?
デリケートゾーンのかゆみやおりものの変化など、不快な症状が起こる膣カンジダ。カンジダ菌自体も膣内に存在する場合が多い。
「フローラの乱れにより腟をきれいにしてくれる善玉菌が減るととカンジダ菌が増えて、腟カンジダの症状が出ます。抗生物質を使用したあと、カンジダになりやすくなるんです」(原田美由紀先生)
デリケートゾーンは清潔に心がけて
デリケートゾーンに不快感を感じたら、清潔に保つよう心がけて。それでも不調が続く場合は、病気が隠れている可能性もあるため、婦人科に相談しよう。
「デリケートゾーン用の洗浄剤、あるいはぬるま湯などで、外陰部を清浄にしてください。またムレにくい素材の下着を選ぶことも効果があるでしょう。これらの対処をしても症状が良くならないときは、ためらわずに婦人科に受診をしてください。必要に応じておりものの検査をしたり、腟剤、外陰部に使う塗り薬などを処方したりします」(原田美由紀先生)
※肌や体質によって、効果には個人差があります。また、肌や体質に合わない場合は製品の使用を中止してください。
デリケートゾーンを洗うときは専用のソープで
デリケートゾーンを清潔に保つことは、善玉菌が優勢な膣内フローラのバランスを保つことにつながる。
「『これをすると膣内フローラがよくなりますよ』というエビデンスのある方法はまだありませんが、殺菌作用のあるソープでデリケートゾーンを洗うことは避けましょう。おりものやかゆみが気になるからという理由でデリケートゾーン用ではない洗浄剤で一生懸命洗ってしまうと、症状が増悪してしまうことがあります」(原田美由紀先生)
※肌や体質によって、効果には個人差があります。また、肌や体質に合わない場合は製品の使用を中止してください。
膣内に定着すると証明された『乳酸菌UREX』
食事で膣内フローラの状態が改善するかはわかっていないものの、乳酸菌UREXは、乳酸菌が長期間膣内に定着すると証明された。
「海外のデータではありますが、乳酸菌UREXを服用することにより膣内に比較的長期に定着することが示されています。経口的に摂取したものが膣内に定着するメカニズムについてはあきらかになってはいませんが、膣内への定着が証明されているという点で画期的だと考えます」(原田美由紀先生)
この記事を監修したのは......
原田 美由紀 先生 / 東京大学 医学部 産婦人科学教室 准教授
「女性のカラダに着目したプレコンセプションケア」をライフワークとして研究を行う。最近では特に、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の病態ならびに抗がん剤による卵巣毒性に焦点を当てて、新規治療・予防戦略の開発を目指す。拳児努力と両立可能な、既存のホルモン療法によらないアプローチにひとつとして腸内細菌叢に着目している。
>>次ページからは、編集部おすすめのデリケートゾーン専用のソープをご紹介
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