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@thedianegilman / Instagramダイアン・ギルマン
Harper's Bazaar

71歳で乳がんと診断された女性が学んだ、年齢にまつわる新たな人生観

※本記事は2023年10月22日にHarper's BAZAARで掲載されました。

私の中年期は散々だった。50歳の頃にパートナーを亡くし、悲嘆に暮れている間に約45キロも体重が増えた。ファッションデザイナーである私は、60〜70年代はいつもロックスターのようなデニムルックを着こなしていた。だが突然、ジーンズをはいた自分の姿に嫌気がさし、もうクールな女性にはなれない気がして、ひどく落ち込んだ。

そこでデザイナーとしてのスキルを生かし、私のような年齢を重ねた女性に合うジーンズを作ろうと決心。ブランドを立ち上げて、ホーム・ショッピング・ネットワークで販売したところ大ヒットした。これは、他人から注目されない存在になったと感じている同世代の女性のことをもっとよく知る必要があるということを物語っていた。

私の信条は、ファッションは若い頃の自分とつながる手助けをし、若い頃よりずっと成熟しているとはいえ、自分らしく感じられるというものだ。

だから私は、年齢を重ねることはどういう意味を持つのか、理解していると思っていた。自分に自信が持てて美しいと思える新たな方法を見つけて、イメージチェンジすることだと。だが、その考えは71歳で乳がんと診断され、3年後の74歳で回復したことによって変化した。
 

ステージ3の乳がんを克服して、人生観に変化が訪れた

がんは万人に平等で、多くのことをさらけ出す。お金持ちや美人だからといって、ニューヨーク5番街のペントハウスに住んでいるからといって、がんが治るわけではない。ステージ3のがんから生還して、私は人生観が変わった。人生にもっと感謝するようになった。

まさにターニングポイントとなったその瞬間は、ニューヨークのドゥービン乳がんセンターで治療を受けている間に訪れた。治療計画の約半分が過ぎた頃(幸い、効果があった)、私は看護師たちが騒いでいる声を聞いた。「シーラ、今日は来たのね!」、「みんな、シーラがいるわよ!」、「はいシーラ、今日のランチはあなたの好物よ。あなたのために3枚残しておいたわよ」という声が聞こえたのだ。

看護師が私の様子を見に部屋にやってきた時、私は言った。「私は細かく刻んだレバーか何かに見えているの? 誰も私にランチを食べるかどうか聞いてくれないわ」と。すると彼女は「だってダイアン、あなたはまったくランチを食べないから」と返答。そして私は「でも聞いてみてもいいでしょう? 今週は食べるかもしれないし。ところで、隣の部屋の女性は誰?」と聞いてみた。

私は人気俳優かニュースのキャスター、あるいは実業界や美容業界の大物がいるのだろうと思っていた。だが、そうではなかった。ホームレスの女性だったのだ。虐待され、子どもと一緒にシェルターに住んでいて、私と同じくステージ3の乳がんと診断された女性だった。シェルターの食事は恐ろしいもので、治療センターを出ると、1日1食のサンドイッチで3日間過ごさなければならない。

その経験が、残りの人生を生きる上で必要なことをすべて教えてくれた。共感、謙虚さ、思いやりの大切さを教えてくれたと同時に、人生がいかに貴重なものなのか気づかせてくれた。そのおかげで、がんを克服することがより意義深いものになった。今、私の人生は感謝の気持ちでいっぱいで、自分がいかに幸運かということを片時も忘れない。この素晴らしい人生を生き続けられるというだけでなく、謙虚であることをずっと忘れないということを学べたのは幸運だ。

永遠に若々しくあろうと決心した

私は若い頃、絶対に老けることはないと思っていた。だが、40代という早い年齢で閉経を経験し、肌も髪もすべてが変化してパニック状態に陥った。

世界恐慌を生き延びた両親の下にベビーブーマー世代として生まれ、目にしたことをもとに、私は高齢者について多くのことを誤解していた。年を重ねるということは、のんびりし、活力を失い、人生の目標やワクワクがなくなることだと思っていた。

でも私は物事は変えられると実感したから、ジーンズ販売からリタイアするのではなく、乗り換えようと決意。50歳以上の女性に刺激を与え、つながることを目標に、ポッドキャスト『Too Young to Be Old』を始めた。年齢を重ねることについて私が抱いた不安を取り上げ、その大部分は無関心になってしまっていることだったが、それを逆手に取ることにした。有意義で、今とつながっていて、活動的で、自分のやり方でやっていこうと決めたのだ。

年齢を重ね、年を取ったと感じると、社会に居場所がないような気がするもので、それはとても嫌な気分だ。だから、自分で自分のスペースを切り開かなくてはならない。私はファッション業界を離れて、少し空の巣症候群のような気分になった。「私は誰? 職業は何? どうすれば今の自分を心地よく感じるのだろうか?」などと考えていた。でも私はその機会を利用して、毎日何か新しいことを学んでいる。

乳がんを克服したことがその助けになった。2020年に治療を終えた時、私はあえて髪を白髪のままにすることに決め、人生の新たなチャプターのシンボルにした。治療の過程で学んだことをすべて生かした。

私は若い頃の自分の好きだったところを考えてみた。勇敢で働き者で、目標を立てるのが楽しく、達成するととてもいい気分になった。人生でもっとも貴重で大事な第3幕を迎えた今、またそういうふうにしたくなってもいいはず。私は一生若々しくあろうと決めたのだ。
 

Translation: Mitsuko Kanno From Prevention

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