欧米では流産や死産、あるいは新生児期や乳児期のときに亡くなった赤ちゃんの後に誕生したベビーのことを、雨の後の空に架かる虹に例え、希望を象徴する存在として「レインボーベビー」と呼ぶ。ここでは妊娠が継続できない状態を(時には何度も)経験しながら、その後に赤ちゃんを授かったセレブ11人をご紹介。
メーガン妃
昨年6月4日に第2子、リリベット・ダイアナを出産したサセックス公爵夫人メーガン妃。妊娠発表は同年バレンタインデーに行ったが、それは一昨年の流産を乗り越えての妊娠だった。
2019年5月に第1子アーチーをイギリスで出産後、メーガン妃とヘンリー王子は2020年春に王室を離脱。米カリフォルニア州サンタバーバラで新生活を始めた矢先に、2人目の赤ちゃんを失ってしまったという。メーガン妃はそのときの辛い経験について、2020年11月に米紙ニューヨーク・タイムズに寄稿。子どもを失うことの耐え難い深い悲しみについて綴り、体験を共有して「大丈夫ですか?」と声をかけることの大切さを訴えている。
ミラ・ジョヴォヴィッチ
2020年2月に44歳で3人目となる娘オーシャンを出産したミラ・ジョヴォヴィッチは、その妊娠を発表した2019年8月のインスタグラムの投稿で、妊娠が発覚したときの複雑な気持ちを正直に吐露している。「13週間前に妊娠が分かった時、私は喜びと恐怖が入り混じった複雑な気持ちだった。年齢もあるし、前回の妊娠が失敗に終わったこともあるから、この生まれてくる赤ちゃんにすぐに執着してしまうことに抵抗があったの」
ミラは2017年、撮影で滞在していた東欧で、医学的理由から緊急の中絶手術で妊娠4カ月半の赤ちゃんを失っており、中絶について「今までで最も恐ろしい体験の一つだった」と語っていた。オーシャンの誕生では「彼女は私たちの奇跡の子よ。私たちはみな彼女が生まれてきて感謝してるし、彼女に夢中なの」と喜びと感謝の気持ちを綴った。
ホールジー
2016年頃から子宮内膜症を患っていることを告白してきたホールジーはステージ上で流産するという壮絶な経験から、同疾患の治療に専念することを決意。3度の流産や4回の手術、慢性的な痛みと闘いながら治療を続け、アルバム『マニック』(2020年)を制作していた頃には、産婦人科医から治療と健康的な生活を続ければ自然妊娠も可能、と言われるまでに回復したという。
同アルバムの楽曲「モア」で妊娠を切実に願う気持ちを歌い上げていた彼女は、2021年7月14日に26歳で交際相手アレフ・エイディンとの間に念願の第1子エイダーを出産した。ホールジーは妊娠報告をしたツイッターで、お腹の赤ちゃんのことを「私のレインボーよ」と表現している。
シェイ・ミッチェル
喪失の悲しみと、その後にレインボーベビーを胸に抱いた喜びをファンとシェアしたのは、女優でインフルエンサーのシェイ・ミッチェル。
シェイは2018年を締めくくるインスタグラムのストーリーで、その年に訪れた世界各国のバケーション風景や楽しい思い出と共に、失ってしまった赤ちゃんのエコー写真を公開。長文のメッセージで、私生活で体験した悲しい出来事について自身の思いを綴った。
「私たちは誰もが、生きているとさまざまな困難や挑戦に立ち向かわなければいけません。そしてSNSでは、ポジティブな側面だけ見せていると楽な時があります。(中略)あなた達のサポートや愛情が、私が最も暗い日々を送っていた時にも私を救ってくれました。昨年流産して、私の希望と夢だった子どもを失ったときはそんな日々の一つです」「新年を迎えるにあたって、私たちは良い時も悪い時も、一緒に旅をしている仲間だということを思い出すべきだと思いました。そして、私たちは他の人たちが経験している困難や挑戦について理解することは非常に難しいと自分自身にリマインドするべきです」
翌年6月にシェイは新たな妊娠を発表。10月に33時間の分娩の末、第1子アトラス・ノアを出産した。
ヒラリー・ローダ
「エスティ ローダー」のキャンペーンなどで知られる34歳のアメリカ人モデル、ヒラリー・ローダは2015年に米のプロアイスホッケー選手のショーン・エイヴリーと結婚。2人は2020年7月に第1子ナッシュを授かっているが、それまでに2度流産を経験したことを明らかにしている。
2020年1月にショーンは自身のポッドキャスト番組で、ヒラリーの妊娠が困難な道のりだったことを告白。日頃からトレーニングをして、アルコール摂取も控えていた2人は自分たちは“健康的な”カップルだから妊娠も容易だと考えていたが、実際は違っていたという。妊活を始めた最初の月にヒラリーは1回目の妊娠をしたが流産に。その2カ月後に再び妊娠したが、また流産してしまった。「2回の流産のあと、プレッシャーが高まっていった。そして産婦人科医が僕たちにこう言ったんだ、『この時期がタイミングです。その好機を最大限にするために、休みなく4~5日試してください』」
ショーンはその後、子どもを授かるまでの半年間は2人にとって大変な時期だったと回想している。「(そのことで)喧嘩になることもあった」
エヴァ・アムリ
スーザン・サランドンの娘で女優のエヴァ・アムリには3人の子どもがいるが、2016年10月に第2子メジャーを出産する1年前に妊娠9週で流産を経験している。
当時、エヴァは自身のブログを更新して、流産が一般的なことにも関わらず、あまり語られないことについて、驚きをあらわにしている。「もちろん、それが一般的である、という事実は、その痛みを何ら和らげてくれるものではありません。ですが、流産がこんなにも一般的なのに対して、それについて自分が殆ど聞かされていなかったことがショックでした。(中略)同じような心の痛みを経験している人へ。この喪失の結果として私が感じたことをお伝えします。多くの混乱や、いくつかの怒り、深い悲しみもありましたが、私は同時に大きな感謝の気持ちを抱いています」
ローラ・プレポン
「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」で知られる女優のローラ・プレポンは2018年に2人目を妊娠中、妊娠中期まで進んでいた胎児に嚢胞状リンパ管腫があることがわかり、医師の判断で妊娠を終わらせなければならなかった。
お腹の子どもを失った後、再び妊娠が分かったとき、ローラと夫のベン・フォスターは複雑な気持ちになったことを正直に語っている。「それをもう一回経験することを理解できなかった。同時に有頂天な気持ちでもあった。それは魔法のような感じだった」
レインボーベビーとなる第2子の男の子は2020年2月に誕生。ローラは出産を報告する投稿に「感謝の気持ちでいっぱい」と綴っている。
コートニー・コックス
長い不妊治療を経て、40歳で一人娘ココを授かった「フレンズ」女優のコートニー・コックスはその過程で7度もの流産を経験している。
奇しくも、ドラマ「フレンズ」内で演じたモニカも不妊に悩む役どころであり、同ドラマ内で親友のレイチェルが出産するシーンは実生活での流産直後に撮影されたため、特に辛かったという。NBCの取材に「それは全く同じタイミングだったから、面白おかしく演じるのは本当に辛かった」と回想しているコートニー。「私は何度も流産を経験しました。私はこのことを口に出してはいけないとは思いません。だって、それは不幸なことですが、実際に起きるからです。私はオープンにすることで人々が自分は一人ぼっちじゃない、と分かることが大切だと思います」
キャリー・アンダーウッド
歌手のキャリー・アンダーウッドはマイク・フィッシャーとの間に2人の子どもを授かっているが、2019年に2人目のジェイコブが生まれる前に3度の流産を経験している。
キャリーは今でもその天に旅立っていった3人の赤ちゃんについて考えることがあるという。「私はいつもその子どもたちの死を悼んでいる。彼らの命は流れ星のような、僅かな煙のようなものだった。だけど私はジェイコブを授かった。彼は素晴らしい。彼はとっても愛しい小さなベビーよ。それは辛い経験で、今でも心痛むものだけど、大丈夫、これでいい、って思えるの」
ビヨンセ
夫ジェイ・Zとの間に2012年に第1子ブルー・アイビー、2017年に双子ルミ&サーを出産しているビヨンセは、長女ブルーを授かる前に、流産していたことを明らかにしている。
2013年、自身のドキュメンタリー番組「ライフ・イズ・バット・ア・ドリーム」で流産の経験について、「人生で最も辛い出来事だった」と回想しているビヨンセ。同年のオプラとのインタビューで、「多くのカップルが同じ経験をしていると感じた」と、公表に至った経緯について語った。彼女はまた、流産後に新たに命を授かったときに母親が感じる戸惑いについても赤裸々に語っている。「2度目(ブルー・アイビー)の妊娠のときに、それを公表しなかったのはこれが理由です。なぜなら、何が起こるか分からなかったから。流産はとても辛かったです。私の家族も友人もみんな妊娠を知っていて、祝ってくれていたから」
ウェンディ・ウィリアムズ
アメリカの人気TV司会者のウェンディ・ウィリアムズは2000年に36歳で一人息子ケヴィン(左)を出産しているが、その妊娠が成功するまでに何度も流産を経験したことを2015年のPBSの特番「American Masters: The Women’s List」で明らかにしている。
「私は母親になるためにあらゆる手を尽くしたの。何度か流産を経験したけど、そのうち2回は妊娠5カ月だった。それってすでに服も選び終わっているし、子供部屋も壁塗りが終わっているような時期。そんなときに告別式を望むか、火葬を望むか、聞かれるの」「そんなことを私たちは1度ならず2度も経験したの。だからケヴィンはようやく手にした子どもなの」