※本記事は2021年3月22日にELLEで掲載されました。
正直、女性として生きていると、性差別的で失礼な質問やコメントを受ける機会は少なくない。そんな時は、ここで紹介するセレブみたいに、怒り任せではなくウィットに富んだ受け答えでやり返そう。AU版『ELLE』より。
ジェンダーインクルーシブではない質問を拒絶したゼンデイヤ
『ヴァニティフェア』誌のインタビューで、私生活に関して矢継ぎ早に質問されたゼンデイヤ。男性に望むものは何か、一つずつ挙げてほしいという質問に、彼女は「人に望むものは何か、はどうかしら?」と切り返し。
この含みのある返答に、『ヴァニティフェア』誌のインタビュワーが「女性に望むものは何ですか」と聞き返したため、ゼンデイヤは「うーん、同じ答えだと思う」と吐き捨てるように返答している。
アリアナ・グランデは男性司会者の質問に呆れ顔
世界で最も人気の女性シンガーであるということは、毎日のように性差別に直面するということ。それでもアリアナ・グランデは躊躇なく声を上げ続けている。
2015年にロサンゼルスのラジオ局「Power 106」で行われたインタビューで、番組の2人の男性プレゼンターは彼女に「化粧も携帯もしないで1日過ごせるか」と質問。アリアナは冷ややかな笑みを浮かべながら以下のように返答している。「これって、女の子はこのどちらかを選ぶのが難しいとでも思っているの?この男の人は、女の子が選ばなければいけないのはこのどちらかだと思い込んでるってこと?」
さらに、ユニコーンの絵文字は女の子だけが使うものだと言い張るプレゼンター2人に対して、彼らは「平等についてブラッシュアップする必要があるわね」とアドバイス。インタビューの最後で、世界のどんなところを変えたいか、という質問には「ダブルスタンダード、女性蔑視、人種差別、性差別。私たちにはやることがあるわ。まずあなたたちから始めましょう」と言い放っている。
テイラー・スウィフトは女性記者の失礼な質問にマジレス
2015年のグラミー賞レッドカーペットで女性記者から驚くような失礼な質問をされたテイラー・スウィフト。
「エンターテイメント・トゥナイト」の女性レポーター、ナンシー・ナデルはテイラーに向かって「今夜あなたが家に連れて帰るのはトロフィーだけじゃないですよね、沢山の男性もお持ち帰りするはず」と発言。このありえない質問にテイラーは硬直した表情を一瞬見せたが、すぐに持ち直して「今夜は男性と一緒に帰るつもりはないわ。友達と遊んだあとに、猫が待つ家に帰る」ときっぱり。冷静な対応がさすが!と評判に。
シエナ・ミラーは恋愛歴についての質問を一蹴
シエナ・ミラーはリス・エヴァンスとの関係について質問してきた英紙タイムズに対して、以下のように追及している。
「誰かの恋愛歴を挙げることに何の意味があるの? 完全に性差を感じるわ。その責任はメディアにある。女性を責任を持って扱い、インタビューするときに俳優と同じルールを女優にも適用しなければ」
「このような話題についてのインタビューをたくさん読んできたけど、こういった質問は男性にはされないということを保証するわ」
男性目線の報道に苦言を呈したキルスティン・ダンスト
ハリウッドのウォーク・オブ・フェイムに選ばれた際に、ロイター通信の公式ツイッターで「スパイダーマンのガールフレンド役で最もよく知られている」と紹介されたキルスティン・ダンストは以下のように述べている。「そうね...私はツイッターとかあまり見ないから、ソーシャルメディアには疎いわ。でも、その話題については、私も読んでいて『ああ、これはかなりやばい』と思ったの。だから、ファンやみんなが私の周りに集まって応援してくれたことを誇りに思う」
「あれはとても無知なツイートだったし、おそらく男性が不注意に行ったものじゃないかな」
プリヤンカ・チョープラーはメーガン妃についての偏向記事を批判
ヘンリー王子との婚約が発表される前の2017年、メーガン妃は『ヴァニティフェア』誌で暴露インタビューを行った。妃の長年の友人であるプリアンカ・チョープラーはその記事について、メーガン妃が達成した多くの功績をないがしろにして、メーガン妃のプロフィールの中でヘンリー王子を中心に据えた同誌の姿勢を批判した。
2017年の「エンターテイメント・トゥナイト」のレッドカーペットインタビューで、彼女は以下のように語っている。「このことで厄介事に巻き込まれるのかもしれないけど、意見したいわ。彼女は『ヴァニティフェア』の表紙になったわけだけど、ボーイフレンドのことばかりじゃなくて、彼女について書いたらもっと良くなったのに、と思う。私が言いたいのは、彼女は俳優で、活動家で、慈善家だということ。彼女は他にもたくさんの事をしているの」
「私はフェミニストだけど男の子も大好きよ。ただ、私が言いたいのは、女性が単なるおまけじゃない、ある種の平等が必要だということ。自分自身のアイデンティティである、というのは素敵なことよ」
「ロックスター」という言葉を再定義したレディー・ガガ
さまざまな形での平等を重んじるレディー・ガガ。キャリアをスタートさせたばかりの2009年のインタビューでは、「あなたの性的な美が作品性を下げてしまうことを『恐れて』いますか?」と尋ねられ、音楽を取り巻く偽善について記者に聞き返している。
「私は怖くないわ。あなたは怖いの? もし、私が男で、タバコを手に股間を掴んで座っていて、速い車と女とヤルのが好きだから音楽を作っていると話したら、あなたは私をロックスターだと言うんでしょうね」
「だけど、それを私が音楽やビデオでやると、私が女性でポップ・ミュージックを作っているからという理由で、一方的に判断される。私はただの1人のロックスターよ」
アレクサンドリア・オカシオ=コルテスはトランプ大統領とのレスバに勝利
固い決意を持つ、新進気鋭の政治家の一人であるアレクサンドリア・オカシオ=コルテス(AOC)は何人たりとも自分の進む道に分け入ることを許さない。特に、それがトランプ大統領の場合は。
悪名高きツイッターユーザーであるトランプは大統領の任期中、30歳の下院議員を同SNSで攻撃することを繰り返してきた。2019年10月、彼女を「Wack Job!(頭のおかしい人間)」呼ばわりしたトランプ大統領に、AOCは「国を裏切る犯罪者になるよりはマシ!」と返答。決定的とも言える一言でレスバトルを制した。
トレイシー・エリス・ロスは「結婚=幸せ」という考えに反論
多くの不安を克服し同じことに取り組む人々を刺激してきた女性、トレイシー・エリス・ロスは、とても幸せな独身生活を送っている。彼女はまた、結婚と子どもが女性が本当の幸せを見つけるための唯一の方法であるという考えを信じていない。
2020年、オプラ・ウィンフリーの「2020 Vision」ツアーでのインタビューで、彼女は以下のように語っている。「私も多くの人と同じように、自分の人生ではなく、結婚式を夢見て育つように教えられました。そして、私は何年も結婚式を夢見て過ごしました」
彼女は男性が自分を選んでくれるのを長年待ち続けた結果、あることに気付いたと語っている「私は選ぶ側の人間であって、結婚したければ選ぶことができるんです。でも、それまでの間、私は選択的独身を続けます。幸せな、輝かしい独身です」
リアーナは”男なんていらない”
リアーナは強く、独立した女性であり、才能あふれる成功したミュージシャンだ。しかし、芸能リポーターにとっての一番の関心事はいつだって、彼女がシングルかどうかだ。2014年のプレスイベントで、「男性に期待するものは何ですか?」と質問されたリアーナ。「私は男なんて探してないわ。まずはそこからよ」
スカーレット・ヨハンソンに下着の話は厳禁!
スカーレット・ヨハンソンに彼女の下着についての話をしてはいけない。これは彼女の『アヴェンジャーズ』の広告キャンペーン中、皆が知っておくべきことだったかも。同作品でスカーレットが演じたのはぴったりした黒いボディータイツをまとったブラック・ウィドウ(そして彼女はたくさんの尻を蹴り飛ばす)だったわけだが、「Extra」のインタビューで、レポーターがコスチュームの下に下着をつけていたのかどうか尋ねてもスカーレットは塩対応。場が気まずくなったリポーターが「これってそんなにふさわしくない質問かな?」と尋ねると、彼女は「どんな下着をつけているか人に聞くことが?」とさらに訝しい様子。それでも答えるようにせっつかれ続けたため、最後には「オーバーオール着てるわ。あなたはダンガリーね」と吐き捨てるように答え、「このインタビューは一体何なの?」と呆れ顔でインタビューを終えている。
ヒラリー・クリントンはダブルスタンダードに反対!
2016年の選挙で見られたように、女性の政治家には男性とは全く異なる基準が求められる。ヒラリー・クリントンは、そのキャリアの中でたびたびこの問題に直面してきたが、中でも女性は自分の外見に気を配るべきだという意見には常に強気の姿勢を貫いてきた。
2011年に行われたインタビューで、ヒラリーは「どのデザイナーが好きですか?」という質問に完璧な返答をしている。「あなたは男性にもその質問をしますか?」
侮辱的な質問を映画の話につなげたアン・ハサウェイ
アン・ハサウェイが『レ・ミゼラブル』の熱演でオスカーを獲ったにも関わらず、2012年に映画のプレミアの後、みんなが話題にしたのは車から降りる際にスカートが捲れた彼女の写真の事ばかり。マット・ラウアーでさえ、「トゥデイ・ショー」でその話をしようとしたが、賢いアンはそのインタビューを巧く逆手にとって、出演した映画についての話題に転換させた。「最近よくあなたの姿を見ますね。そこから何の学びがあった?」というラウアーの皮肉に、「望まない人の性が商品化されてしまう私たちの文化を残念に思うわ。それは私たちを『レ・ミゼラブル』に連れ戻してくれる。と言うのも私が演じた役柄がまさにそうだから。彼女は何も持っていなかったから、子供を養うために性を売らざるを得なかった人間なの」と答えた。
エマ・ストーンは外見で判断されることを拒否
エマ・ストーンが才能あふれる女優であり、シンガーであり、ダンサーであり、そしてスマートなインタビューの受け手であることはご存知の通り。しかし2015年のオスカー・ノミネートのランチョンで、リポーターが彼女の見た目を褒めた時は、我慢ならなかった模様だ。リポーターが質問を始める前に「いつもお美しいですね」と言うと、エマはすかさず「あら、ありがとう。それが大事なことなのね」と切り返している。
エイミー・シューマーは「私は太ってない!」
コメディアンのエイミー・シューマーは「火は火を持って制す」ことに決して躊躇しないタイプだ。2016年、ソニー・ピクチャーズの新作でエイミーが実写版バービーの出演候補となっていることが明らかになるや否や、ツイッター上ではユーザーがこぞって彼女の体型について騒ぎ始め、「エイミー・シューマーが演じることで、バービーは減量キャンプ行き」と言ったつぶやきまで登場した。もちろんエイミーは黙っておらず、早速インスタグラムで水着姿の自分の写真を投稿し、長い文章を添えて反論を展開。「2つのグラミー賞にノミネートされ、重要かつ進化するアイコンを演じる候補に選ばれて、とってもとっても誇らしい気持ちよ」「これはファット・シェイミング(太っていることで辱められる行為)? 自分が太っていないとわかっていて、自分のやっていることに何の恥ずかしさも感じていないなら、そうじゃないわ。私は強い人間だし、自分の生き方に誇りを持っている。自分の考えを口にして、自分の信じるもののために戦う。私はそれを愛する人たちと一緒にやってきて楽しい時間を過ごしてきた。恥ずかしさなんてないわ」と高らかに宣言した。
肌色についての質問を制止したラシダ・ジョーンズ
クインシー・ジョーンズとペギー・リプトンの娘として生まれたラシダ・ジョーンズは人種が混ざっている。しかし、その事実を知ってか知らずか、TNTのレポーターはTVインタビュー中にジョーンズの肌色はまるで「日焼け」しているようだと発言。「あなたはまるでどこかの島か何かからやってきたみたいですね。とっても日焼けしてて、南国風です」というレポーターの言葉に、「えっと、私はエスニックなのよ」と答えたラシダ。記者の2人はそれが冗談と思ったのか、もう1人(白人)が「私もです」と答え、笑って済ませてしまったのだから、残念な話!
自分のIQを明かしたメイム・ビアリク
CBSのドラマ「ビッグバン★セオリー/ギークなボクらの恋愛法則」で天才少女エイミーを演じたメイム・ビアリクは実は本人自身も才媛で、映画やTV番組の撮影の合間を縫って2007年にUCLAで博士号を取得した人物だ。しかし、2014年のSAGアワードの際、TNTのリポーターは彼女が役柄ほど賢くないと思ったのか、「『ビッグバン★セオリー/ギークなボクらの恋愛法則』に出演の際、一体何人が、いや、決してこれはあなたが天才じゃない、と言ってるわけじゃないんですがね、一体何人の人があなたが一瞬にして微分・積分が解けると思ったでしょうか?」と質問。ビアリクは「実は私は何年も微積分学の勉強をしてるわ。私は脳神経科学者よ」と答えている。
ローレン・コンラッドの一番好きな”ポジション(役職)”は?
コンラッドはリアリティ番組でキャリアをスタートしたセレブだけど、だからと言って彼女が能力や知性がない女性だということにはならない。2012年に出演したラジオ番組「SiriusXM」で、彼女はTVスターはセックスの対象であるべき、という根拠のない前提に立ち向かうことになった。袋の中から質問カードを無作為に取り出して答えるコーナーで、「あなたの一番好きな”ポジション(体位)”は?」という質問を引き当てた彼女は、一寸おいて、「CEOよ」と一言。お見事!
トランスジェンダーについての不躾な質問を封じたラバーン・コックス
トランスジェンダーについての認知や権利の主張を我慢強く続けてきたコックスだけど、彼女にだって我慢の限界が。でもそれは、単純に向こうが不適切だっただけだ。数年前にコックスがトーク番組「ウェンディ・ウィリアムズ・ショー」に出演した際、司会者のウィリアムズはコックスにたくさんの質問をしたが、その中に「豊胸手術を受けました?」という質問も混ざっていた。コックスは「カメラが回っていなかったら、あなたに話すことができるわ。でも、体に施したことについては話さないように決めてるの。だって、トランスジェンダーの人たちの経験したことが話題になる時って、あまりにも手術や性転換についての話ばかりに集中することが多いから。だからそのことについては話さない。でも、今の状況にはとても満足しているわ」と返答している。
髪型についての質問を封じたエレナ・セロヴァ
エレナ・セロヴァはロシア人女性として初めて国際宇宙ステーションに滞在した宇宙飛行士であり、それは偉大なる功績と言える。なのに、記者が注目したのは彼女の髪型!? 2014年に記者会見が行われた際の「ステーションでの日常生活について教えていただけますか。例えば、髪型は?どうやって髪をセットするんですか」という質問に、男性のチームメンバーと一緒に着席していたセロヴァは以下のように回答した。「私からも質問していいですか? あなたは私の同僚たちの髪型については興味お持ちじゃないですよね?」
アンバー・ローズは見た目で判断されるのを断固拒絶
外見で判断されたくない女性たちのロールモデルとなってきたアンバー・ローズ。彼女は性差別者への反対運動を支援するデモ「アンバー・ローズ・スラットウォーク」を毎年開催しており、服装で人から判断されることには断固反対している。
トークショーの序盤で、司会のタイリース・ギブソンとレブ・ラン(ジョセフ・シモンズ)がそんなセクシーな服装で外にいたら、男たちは彼女をわし掴みにしてもいいような気分になるよと言うと、ローズはそれをはっきりと拒絶。 ギブソンが「なんか醸し出すエネルギーが返事になってる、みたいな」というと、ローズは「いいえ、そんなことないわ。ノーはノーよ。私が何を着てようが、私がノーと言ったら、それはノーよ」
Translation & Text: Naoko Ogata
Photo: Getty Images