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Megan Madden / Refinery29 for Getty Images / Getty Imagesセルフプレジャーの際に性器を保護したり、膣内の潤い不足を解消するためなどに使用することで知られる潤滑剤。ローションとの違いを理解していないと、誤って潤いを軽減させてしまうリスクもあります。そこで今回は、「fuanfree」編集長こばやしさんに潤滑剤の選び方のポイントなどをお伺いしました。
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ローションと潤滑剤の違いは?自分にあった成分や使い心地を知るヒント

※本記事は2023年7月9日にCosmopolitanで掲載されました。

セルフプレジャーの際に性器を保護したり、膣内の潤い不足を解消するためなどに使用することで知られる潤滑剤。実はコンドームにも塗布されているので、コンドームを使う人は知らずのうちに触っていたということも。本来「潤いを与えるもの」として使われる潤滑剤ですが、ローションとの違いを理解していないと、誤って潤いを軽減させてしまうリスクもあります。

そこで今回は、性交痛にまつわる悩みに関する情報を配信する医師監修の専門サイト「FuanFree(ふあんふりー)」の編集長を務めるこばやしさんに「潤滑剤とローションの違い」「潤滑剤の選び方のポイント」などをお伺いしました。

潤滑剤でより安全に行為を楽しむ

潤滑剤とローションの違いをちゃんと理解していない人も多いはず。こばやしさんによると、 用途の他に成分などにも違いがあるのだとか。

用途

潤滑剤(潤滑ゼリー)は日本では、性的興奮をしていても膣内の潤いが足りないときにプラスして活用するものと知られています。 一方ローションは、オナニーホールなどの男性用セルフプレジャーグッズと併用する際に使用したり、カップルでボディ上のぬめりを楽しむアダルトグッズのことを指します。

「日本では、潤滑剤は主に濡れづらいときに使うものと知られています。しかし欧米では“Personal Lubricants”と呼ばれ、Fuanfreeで取り扱うメーカーは、主に三つの目的を強調しています。まず第一に、お互いの性的な喜びを最大限に高めるために。第二に、性器に傷をつけないためのセーファーセックスのため。そして最後に、潤い不足を解消するために役立つということが謳われています」

成分

潤滑剤の主な成分は、「水+保湿剤成分(グリセリン、PG 、 BG、ヒアルロン酸など)」。最近は新規参入メーカーが増え成分もこれ以外に多様化しています。一方でローションには、「水+ポリアクリル酸Na系」などが含まれます。

「成分表でポリアクリル酸Naが記載順のはじめの方にあるローションは粘度が高く、乾きが早い傾向にあります。粘度が高いと膣内に残りやすく、乾きも早ければ途中で継ぎ足すことになるので、結果的に使用量が多くなってしまうでしょう」

※化粧品の全成分表示ルールを基準にして解説しています。化粧品の場合は、配合量の多い順に成分が記載されており、1%以下の成分は順序を自由にしてよいと設定されています

コスト

潤滑剤は100ml以下の容量で1,000円前後〜3,000円台のものが多い一方で、ローションは500ml前後の容量で1,000円以下で購入できるものが多いのが現状です。ただ自分やパートナーの体にまつわることなので、コストパフォーマンスだけで選ぶのには注意。

潤滑剤を選ぶポイント4選

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akinbostanci / Getty Images

直接使用する潤滑剤を選ぶ際は、成分など細かく見る人も多いかもしれません。ただ成分を知ったところで自分に合う・合わないの判断は難しいですよね。簡単な、選ぶ際のポイントを伺いました。

粘度が高すぎない

糸を引くほど粘りけが強いものや、容器を逆さにしても液体が落ちてこないものは避けましょう。そのようなタイプのものは洗い流しが必要なものが多く、洗い流す際も一苦労するのがほとんどなのだとか。

「男性器は何を使ってもシャワーで洗い流せますが、膣はそう簡単に洗えません。そしてビデを大量に使って洗い流せば、(良い働きをする)常在菌まで洗い流してしまう可能性もあります。これは、オーガニックの成分であっても懸念されることです」

きちんと成分表記がある

成分がきちんと表記されていると、ニーズに合わせた購買がしやすくなると言います。

「ポリアクリル酸Naが成分表の最初のほうに書かれていれば粘度が高いものと判断できるので、『性交痛で悩んでいる私向きのものではないな』などと判断できると思います。しかし、ポリマーなどざっくりした成分表記がされている商品もあるので、注意が必要です」

少量でも長く使える

持続性がないとすぐ乾いてしまい、結果的に継ぎ足してたくさんの量を使用することに。使用量が増えれば潤滑剤が膣内に停滞する可能性が高くなり、手についた雑菌も一緒に着いてしまうかもしれないのが懸念点の一つなんだそう。

「あくまで私の想像ですが、使い捨て手袋でも使わない限り、潤滑剤の使用時にある程度は手の雑菌が付着するでしょう。相手もしくは自分の指が挿入され、かつ潤滑剤の使用量が多くなれば、膣の中での雑菌の滞在時間が長くなるかもしれない。そうなってしまうと、膣の自浄作用では(健康的にに保つことを)まかなえない可能性があります」

自分の判断軸をもつ

最近のセクシャルウェルネス関連のアイテムの中には、おしゃれなパッケージのものが多く出回っていますが、パッケージだけを見て買うのは注意してほしいとこばやしさんは説明しています。

「購入や使用の際にまだまだ恥ずかしさがある人も多く、デザイン重視で購入する人もいるかもしれません。しかし機能や成分などを見ずに使ってしまうと、自分の本来の目的(濡れづらいの改善、入り口をスムースにさせたいなど)がブレやすい傾向にあります。そのため、どんな目的で使いたいのかを明確にして、苦手な成分は避けるなど、自分なりの安心できる基準を軸に置いて選ぶと良いでしょう」

使う際に気をつけるべきこと

こばやしさんによると、潤滑剤を使う際に気をつけるべきことは以下の通り。

  • 使用前は必ず石鹸で手を洗う
  • 開封後は、3カ月〜半年を目安に使い切る。それ以上経過したものは使わない
  • (明記されている場合は)消費・使用期限を守る

海外から輸入された製品の多くは期限が印字されていますが、国内品には記載がないことがほとんど。だからこそ、平均的に清潔感が保たれるとされている3カ月~半年を目安にすることが望ましいといいます。ほかにも、「体に合うもの」を見つけるためには以下をおすすめ。

  • 化粧品と同様、使用前にパッチテストを行う。

「まずは容量の少ないものから購入して、試してみてください」

「痛みの軽減」が目的の場合は要注意

african woman in underwear women's hygiene menstruation period menopause urinary incontinence
AlonzoDesign / Getty Images

潤滑剤の使用が「セックスライフをより楽しくするため」などではなく、「痛みを軽減するため」など、不快感や負担を減らすことが目的になっている場合は必ず最初に婦人科を受診してほしいとこばやしさん。

「もし痛みがあって潤滑剤を使う必要がある場合、まずは病院で検査を受けることをおすすめします。子宮内膜症や子宮頸がん、性感染症など、体が病気や不調を知らせるサインであることもあります。病気を見逃さないためにも、必ず婦人科に受診しましょう」

またこばやしさんによると、婦人科の検査で問題がなくても性交時に痛みがあるときは、まずは以下のポイントをチェックしてほしいとのこと。すぐに自分の体に原因を探すより、まずは環境的なことにも目を向けるのが大切だと言います。

  • 丁寧な前戯など、性反応がしっかり出た後での挿入か
  • 自分の体に合う性器の向き、角度での挿入か
  • 挿入時のピストンや、指などを使った性器の触れ方が激しくないか
  • コンドームの素材にアレルギーがないか(ラテックスアレルギーなど)

「また、安心安全を感じる環境で性行為をしているかどうかも重要になります。性行為はお互いがオープンになって楽しむコミュニケーションです。人によっては興奮材料になるかもしれませんが、『誰かに見られているかも』『誰かに聞こえるかも』といった、その人を不安にさせる環境では、緊張につながって性的な興奮も起きづらい。楽しむことに集中できずあまり濡れない、そして結果的に性器がこわばり挿入しづらい状況を作りやすくなってしまいます」

さらに、性的興奮時に出る分泌液は、女性ホルモンであるエストロゲンと深く関係しているので、エストロゲンの分泌が抑えられる産後の授乳中や分泌が徐々に減少する更年期以降に、膣内が濡れにくい傾向が現れるそう。

授乳期の場合、終盤になればホルモン値も回復します。そして、更年期の場合は婦人科でホルモン治療ができ、軽度であれば潤滑剤を勧められるケースもあるそうです。

自分や相手を守る知識を!

健康課題の可視化やこれまで聞かれてこなかったニーズに寄り添うことに貢献したフェムテック。急拡大をつづける一方で、気を付けないと「性の悩みは自力でグッズを使って解決するもの」と自己責任論を助長する形で広まってしまうこともあります。

そんな現状にこばやしさんは売り手の一人として願いを込めます。

「潤滑剤を売る立場だからこそ私たちの『性の健康』は、モノありきで語られるべきではないと考えています。だから私は、知識を伝えることもミッションとしてFuanFreeを運営しています」

監修:こばやしひろみさん

性交痛に悩まされた経験を通じ、2008年にアメリカのパーソナル潤滑剤アイディルーブの輸入販売を始める。デリケートゾーンケアブランド「ユアサイド」や潤滑剤輸入販売会社のほか、性交痛に特化した情報サイト「FuanFree/ふあんふりー」を運営。また、SNSや各種メディアで「性交痛と人の関わりを考えるアクティビティスト」「メノポーズカウンセラー」として性交痛やデリケートゾーンの悩みに関する情報発信をしている。

情報サイト「FuanFree/ふあんふりー」

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