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Women's Health

今更聞けない『フリー・ザ・ニップル』って何? ノーブラを選択する女たち

※本記事は2023年6月17日にWomen's Healthで掲載されました。

テレワーク中、ノーブラだった人はいる? 女性の体を持つ多くの人が“身だしなみ”としてブラを身に着けるけれど「それってちょっとおかしくない?」というのが『フリー・ザ・ニップル』というムーブメントの考え方だ。ブラをつけるメリットはよく聞くけれど、ブラをつけないメリットってなんだろう? 今回は、ノーブラ派が多い海外のおしゃれセレブの考えを覗いてみよう。

『フリー・ザ・ニップル』って何?

女性たちがブラをつけなくてはいけないという固執した考え方に対して意義を唱えたのが『フリー・ザ・ニップル(Free the Nipple/ 以下 FTN)』。

2012年にリナ・エスコが同じタイトルのインディー系コメディー映画を制作していたときに火がついたムーブメント。これには男女平等を訴えるメッセージがあり、#FreeTheNippleのハッシュタグとともに野火のような勢いで世界に広がった。

もう少し噛み砕いて言うと、男性がトップレスになることを許し、女性は許さないという法律および社会基準は、女性の胸を不当に性的なものにしているといった主旨のものだ。

この運動には、マドンナやマイリー・サイラスなど海外の発言力のある女性たちが賛同し、自身のSNSでトップレス写真を投稿したり、公の場で発言をしてきた。ムーブメントが広がって10年以上たった今では、おしゃれの一部としてノーブラファッションを楽しむセレブリティーやインフルエンサーも増え、おしゃれセレブほどノーブラであることが多かったりする。ノーブラでパーティーに登場したり、ノーブラで街を颯爽と歩いている姿をパパラッチされると非難する人は相変わらずいるけれど、そんなことを彼女たちは気にしない。彼女たちがノーブラを選択するのはありのままの自分の体を愛している現れなのかも。

ここからは、ノーブラ派のセレブたちのモットー、そして世の中に伝えたいことを紹介していく。

フローレンス・ピュー

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Daniele Venturelli / Getty Images

俳優のフローレンス・ピューは、2022年のヴァレンティノのショーにピンクのシースルーのドレスを着て出席したが、胸がくっきりと分かる彼女の姿は話題を呼んだ。

ドレス姿の写真に寄せられた性的なコメントに対して、彼女は「私は布地の下に何があるのかを怖がったことはないわ。私がそれを着て幸せなら、それを着るつもりよ。もちろん、人を不快にさせるようなことはしたくないけれど、私が言いたいのは、 “私の乳首がどうしてそんなにあなたの気分を害するの?”ということよ」とコメントした。
 

ケンダル・ジェンナー

celebrity sightings in los angeles october 7, 2020
MEGA / Getty Images

ケンダル・ジェンナーと言えば、ノーブラファッションアイコンと言っても過言ではないのではないだろうか。

以前、彼女は自身の公式サイト(現在は閉鎖)で、「ノーブラのどこが問題なのかわからないわ。クールだし、私は何も気にならない。セクシーだし、心地いいし、自分の胸に恥ずべきことはないわ」とコメント。
 

ダヴ・キャメロン

Tommaso Boddi / Getty Images

ディズニー・チャンネル出身のスター、ダヴ・キャメロンは、これまでに政治について言及したり、自身のコンプレックスを赤裸々に明かすなどして、10代のロールモデルなんて言われてきた。そんな彼女が、以前インスタグラムでノーブラセルフィーを公開(現在は削除されている)した際にキャプションには以下のようなコメントが添えられていた。

「女性は、一貫して抑圧されてきた過去を持っているわ。私たちの人生における安らぎは、男性の要求や彼らの権力に合わせるために汚されてきたのよ。これは、彼女たちが成長して大人になってからの自尊心に深い影響を与える。その影響は、その後の彼女たちの人生の選択や、パートナー、そして経済的な安心に垣間見えるもの。そして、彼女たちの将来のパートナーが彼女たちをどのように考えるか、最終的にはどのように扱うかに影響してしまう。女性たちはもっと良い人生を送るに値するわ。今こそ、すべての子供たちにフェミニズムとはなにかということと、女性にとっての安らぎを教えるときよ」

 

エマ・ワトソン

premiere of disney's
Frazer Harrison / Getty Images

2017年にUS版『ヴァニティ・フェア』にノーブラ姿で登場したことで、大きな波紋を生んだのがエマ・ワトソン。この写真が世に出ると、インターネットの世界でエマは偽善者だと言われ、反フェミニストだと非難された。

この一件について、彼女は「フェミニズムとは、女性たちに選択を与えることよ。フェミニズムとは、他の女性たちを打ち負かそうというものではないわ。それは自由であり、解放であり、平等を意味する。それが私の胸となんの関係があるのか理解できない」とロイターのインタビューで語っている。
 

マイリー・サイラス

celebrity sightings in new york city february 12, 2020
Pierre Suu / Getty Images

今から10年前に「人々は私をクレイジーだと言うわ!ありがとう!」とツイートし、ある研究についてのHuffington Postの記事へのリンクを添えたのは、マイリー・サイラス。

この研究によると、ブラを着用することで胸の筋肉が弱まり、たるみが促進されることが示唆されている。一方で、ブラを着用しないことで、胸の筋肉がより強く働きバストを高くすることができると結論付けていることにマイリーは歓喜したよう。

ただし、この研究結果については公式に発表されたものはなく、査読(論文をその学問分野の専門家が読んで、内容の査定を行うこと)もない。そのため、研究の妥当性を評価することはできないので、要注意。

そのことが、マイリーの耳に入っているかどうかは不確かだけれど、どちらにせよ、プライベートでもステージの上でもしょっちゅうノーブラで登場するマイリーは強い女性の代名詞であることは間違いない。
 

マドンナ

bridgestone super bowl xlvi halftime show press conference
Scott Halleran / Getty Images

インスタグラムにフリー・ザ・ニップルの写真をアップしたところ、削除されてしまって激怒したのがクイーンオブポップのマドンナ。その後、ハートのスタンプで乳首を隠しつつ、削除された写真を再びインスタグラムにアップ。(こちらも削除されてしまった)

「乳首以外の女性の体のあらゆる部分を見せることができる文化の中で生きていることに、いまだに驚かされているわ。まるで(乳首が)女性の体の中で唯一性的に扱われる部分であるかのよう。赤ちゃんに栄養を与える乳首! 男性の乳首はエロティックに感じられないのかしら?! そして、女性のお尻はどこでも検閲されないのはどう? 40年にわたる検閲、性差別、年齢差別と女性差別の中で、なんとか正気を保ってこられたことに感謝するわ」とコメントし、「#artistsareheretodisturbthepeace(アーティストは平和を乱すためにここにいる)」というハッシュタグをつけて投稿した。
 

SNSでフリーザニップル解禁!?

in this photo illustration, an instagram logo seen displayed
SOPA Images / Getty Images

これまでに多くのセレブリティーやインフルエンサーがFTN運動を支持し、SNSで自身のトップレス写真などを投稿することが2012年以降目立つようになった。一方で、マドンナのようにSNSにトップレスをアップしたがすぐに削除されてしまった理由は、InstagramやFacebookでは「女性のトップレスはNG」というルールがあったから。

しかし、今年に入って明るい兆しが見えてきたよう。InstagramやFacebookにトップレスの写真の投稿を禁止していた厳しい規則の解除が間もなく行われると、今年1月にガーディアン紙で報じられた。

勧告の中では、「(旧)ポリシーは、ジェンダーに対する二元的な見方と、男性と女性の身体の区別に基づいている」ため、女性であると認識していない人々にとって、乳首を出すことに関するルールが「不明瞭」になっていると述べられていた。さらに、このポリシーが、特に女性、インターセックス、ノンバイナリー、トランスジェンダーの人々にとって、プラットフォームにおける包括性を妨げているとされた。例えば、乳房の切除手術を行っていないトランスジェンダー男性のトップレス画像も削除されるといったということもこれまであったということだ。

賛否両論はあるかもしれないけれど、男女がより自由に自分を表現できる機会が増えたり、自分自身のあり方を見つめ直す機会が増えるのは決して悪いことではないはず。

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