※本記事は2022年11月17日にCosmopolitanで掲載されました。
日本でもよく知られるようになったLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)以外にも、ジェンダーやセクシャリティはグラデーションのように多様に存在しています。
その中でも本記事では、有識者たちの知見をもとに、「グレーセクシャル(Gray Sexual)」、または「グレー・エー(gray-a)」と呼ばれるセクシャリティについて解説。アセクシャル(無性愛)や、デミセクシャル(半性愛)との関連性についても紐解いていきます。
グレーセクシャルの定義
「グレーセクシャルは、他人にほとんど性的魅力を感じない、あるいは特定の条件や状況下で性的魅力を感じるセクシャリティです」と説明するのは、米人権NGO「ヒューマン・ライツ・キャンペーン財団」のテッド・ルイス氏。
また、米NPO「トレバー・プロジェクト」のキーガン・ミラー氏は、「グレーセクシャルは、アロセクシャル(他者に性的魅力を感じる人)とアセクシャル(他者に性的魅力を感じない人)のどこかの間に位置している」と言います。
ただし、性的魅力の感じ方には個人差があるもの。そのため、必ずしも他人の経験や感じ方と比べて、自分のセクシャリティを定義づける必要はありません。
「デミセクシャル」との違い
グレーセクシャルとデミセクシャルは、どちらもアセクシャルに属するセクシャリティとされていますが、その定義は少しずつ異なっています。
デミセクシャルの人が、信頼関係など精神的に強い絆を築いている相手にしか性的魅力を感じない傾向にある一方で、グレーセクシャルの人はそうとは限らず、特定の条件や状況下で性的魅力を感じる可能性があります。
またミラー氏によれば、「グレーセクシャルは、わずかにではあるものの、アセクシャルよりも性的魅力を感じやすい傾向にある」と言います。
ここでも大切なのは、定義に固執しすぎないということ。性的魅力の感じ方については、個人差があることを覚えておきましょう。
同時に2つ以上のセクシャリティをもつ場合
「アロセクシャルやアセクシャル、グレーセクシャル、デミセクシャルなどの性的指向は、似たように定義されますが、それぞれが他人に性的魅力を感じる度合いを表していて、その意味は微妙に違ってきます」と、ルイス氏は言います。
これらの言葉は、性的魅力を感じる対象の性別までは含まれていないため、同時に2つのセクシャリティを持つことも不思議ではありません。
「グレーセクシャルでありレズビアン、グレーセクシャルでありヘテロセクシャル(異性愛者)、グレーセクシャルでありバイセクシャル(両性愛者)…と、2つのセクシャリティをもつことは珍しくありません」
またミラー氏は、「あなたがデミセクシャルとグレーセクシャルどちらにも当てはまると感じている場合には、デミセクシャルでありグレーセクシャルでもあると自認しても問題はありません」とも補足しています。
グレーセクシャルのサイン
グレーセクシャルを自認するための“特別な条件”があるというわけではありませんが、自身の性的指向の理解を深めたいと思った場合には、次のミラー氏の言葉が参考になるかもしれません。
「“グレー”という言葉が示すように、多くの当事者は性的指向のグラデーションの中で曖昧な位置に属しているような感じを覚えます」
「ほとんど無性愛者だけれど、ときどき他人に性的な魅力を感じるという人は、グレーセクシャルと名乗ることが多いでしょう。あるいは、『自分はアセクシャルとはちょっと違うかも』と思ったときに、グレーセクシャルを意識するかもしれません」
「ここで忘れないで欲しいのは、自分の中で気持ちがはっきりと明確になっていないときや、心の準備ができていないときは、無理に自分の性的指向を決める必要はないということです。人の気持ちは時間と共に変わるかもしれないし、変わらないかもしれません。それは悪いことではありませんし、焦る必要はどこにもないのです」
グレーセクシャルのプライドフラッグ
ジェンダーやセクシャリティごとによって存在する、プライドフラッグ(旗)。グレーセクシャルのフラッグはアセクシャルと同じく紫やグレーが含まれていますが、アセクシャルを意味する黒が含まれておらず、パターンも異なります。
※この翻訳は、抄訳です。
Translation: Risa Tsubakihara
SEVENTEEN