最近、巷でよく耳にする“膣トレ”というワード。膣を若々しく保つ以外にも、美と健康に直結するさまざまな効果が望めると噂だけれど、実際のところは? そして正しいトレーニング方法とは? 美容婦人科医の喜田直江ドクターにASK!
そもそも膣トレって何?
「骨盤の底にある、骨盤底筋というインナーマッスルを鍛えるためのメソッド。骨盤底筋は尿道や膣、肛門を締める筋肉で、それより上にある内臓を支える働きも担っています。この筋肉が低下すると、尿漏れしやすくなったり、膣がゆるんで性交渉の際に快感を得づらくなったりとさまざまな不具合が生じます。また、女性は妊娠や出産、エイジングによって、男性以上に骨盤底筋が低下しがち。20代30代の頃から膣トレをすることで筋力の維持を図れます」(喜田先生)
膣トレで期待できる効果とは?
(1)子宮周りの冷えをセーブ
「骨盤の下部にハンモックのように横たわっている骨盤底筋を鍛えると、子宮内の血流がアップして冷えにくいコンディションに。生理痛の軽減のほか、お腹まで温まって腸の調子がよくなる、といったメリットも期待できます」(喜田先生)
(2)膣圧が上がって“感度”がアップ!
「骨盤底筋を強化することで、膣圧(=膣の締め付ける力)アップ効果も。膣圧が上がると、性交時に快感を得やすくなったり、経血をコントロールしやすくなる、などの利点が。ちなみに膣圧は、エイジングや妊娠、出産を経て低下しやすくなります。ただ中には、若いうちから低い人も」(喜田先生)
(3)尿もれや子宮脱を予防
「前述の通り、尿道を締め、排尿時以外に尿が漏れるのを防ぐ働きを担っているのが骨盤底筋。エイジングや出産を経験することで誰でも尿漏れしやすくなりますが、早い段階からトレーニングを始めると、その防止につながります。さらにシニア世代になったときに、子宮や膀胱が膣から脱してしまう子宮脱、膀胱脱になるのを予防する利点が」(喜田先生)
セルフチェック! 当てはまれば膣トレしてみるのもアリ!
あなたは、排尿の途中で尿を止めることができる? 止められない人は、骨盤底筋が低下している証拠かも。そのほか、下記に当てはまる人は膣トレを始めてみる価値あり! いろいろな不快症状が改善できる可能性が。
□生理痛がある
□尿漏れすることがある
□セックスを楽しめない
□いつもお腹が冷えている
□体全体の筋肉量が少ない
□出産を経験している
ドクター推奨! 膣トレメソッド
3タイプのトレーニング方法をご紹介!
(1) ビギナー向けのセルフメソッド
「トライする際は、膣周辺以外の筋肉には力を入れないようにするのがポイント。また、どこに力を入れたらいいかわからない人は、清潔にした指にジェルを塗り、指を膣内に入れた状態で行うとコツを掴みやすいはずです。スムーズに行えるようになったら、市販の膣トレグッズを挿入して挑戦するのも、締め上げる感覚を掴みやすくなるのでおすすめです。ただし、グッズを使う際はジェルを塗り、使うたびに洗浄して清潔に保つようにしましょう」(喜田先生)
HOW TO
STEP1:リラックスした状態で仰向けに寝転び、足は肩幅に開いて膝を立てる。特にお腹には力を入れないようにして。
STEP2:息を吐きながら膣の入り口をすぼめ、膣・尿道・肛門を胃のほうへと引き上げるようにして10秒キープする。その後、ゆっくりと脱力。同じ動作を10回繰り返す。(10回を1セットとし、1日5セット行う。連続で行わなくてもOK)
(2) ビギナー向けのクリニックメソッド
「1のメソッドだと力の入れどころが掴めない人は、まずクリニックで機器を使ったトレーニングを体験し、要領を得るのも手。 『ペルビックトレーナー』は米国生まれのチェア型マシン。服を着たまま座っているだけで、機器が発する磁力によって、持続的に筋肉を収縮させられるので、効率よく骨盤底筋を強化できます」(喜田先生)
■「ペルビックトレーナー」(20分) 初回トライアル ¥5,500、2回目以降¥8,800 (初診料別) ※なおえビューティークリニックの場合 ※自由診療のため保険適用外となります
(・機器はアメリカから輸入・副作用のリスクはありません。・同じ効果を標榜する国内承認機器はありません・この機器でトラブルの報告はありません)
(3)上級編のセルフメソッド
「1や2に慣れてきたら、座った状態や立った状態でもトレーニングを。こちらのやり方でもできるようになると、“ながらエクササイズ”として、よりお手軽に日常生活の中に取り入れられます」(喜田先生)
HOW TO
立った状態や椅子に座った状態で、上記の1のビギナー編と同じようにトレーニングを行う。何も挿入しなくても膣の内側に力を入れられるようになったら、デスクワーク中や電車移動中にもトライしてみたい。
膣トレの効果を手早くチェックする方法は?
「排尿の途中で尿を止めることができるようになれば、トレーニングの成果が出ていると捉えてOK! また、クリニックでは、膣圧の数値を図ることもできます。効果を実感できるのは、早い方だと開始1カ月後、遅い方だと3カ月目あたりから。毎日、地道にトレーニングを続けることで、先々のエイジング対策にもつながります。
ちなみに、息を吸ってお腹にたっぷりと空気がある状態で腹筋をしたり、縄跳びのような上下に激しく振動する運動をすると、過剰な圧力によって骨盤底筋を痛める原因に。上方からの圧力が骨盤内にかかるような動きを避けるのも、トレーニング同様に重要です」(喜田先生)
教えてくれたのは……喜田直江先生
なおえビューティークリニック院長。日本形成外科学会会員、日本性科学会会員、日本抗加齢医学会会員。婦人科形成だけに特化したクリニックで、多くの女性たちの悩みに応えている。院内には、膣トレマシン「ペルビックトレーナー」のほか、膣圧を測定できる機材なども完備。
なおえビューティークリニック
東京都中央区銀座5-5-1 ニュウ銀座千疋屋ビル9F
tel. 03-5537-7560(完全予約制)
https://www.naoe-clinic.net/
text:CHIHIRO HORIE