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オープンに話すのが当たり前!オランダのセクシュアルウェルネス事情

世界的にも「セクシュアルウェルネス」への関心が高まっている昨今。国によって違いはあるものの、市民が声を上げてアクションを起こしたり、新たな制度が誕生したり、と社会全体で議論され始めています。

今回は、11の国と地域に住むエディターやスタッフに「性」についてのアンケートを取り、オンラインインタビューを重ねて現地の状況をリサーチ。

第二回目は、ハースト・オランダで『Men's Health』と『Women's Health』のマネージングエディターを務めるキルステン・ファン・デン・ベルクさんにインタビュー。2001年、世界で初めて同性婚が合法化され、近年は性教育に関しても世界から注目を集めるオランダ。キルステンさんに聞いた、現地の「セクシュアルウェルネス(身体的、感情的、精神的、社会的にも健康な状態)」の今をレポートします。

キルステン・ファン・デン・ベルクさん

ハースト・オランダに勤務。『Men's Health』と『Women's Health』のマネージングエディターとして活躍中。

――オランダでは、「セクシュアルウェルネス」と聞いてどんなイメージがありますか?

 

セクシュアルウェルネスについての話題は日常的に出ますし、オープンな姿勢の人が多いと思います。

私自身も、セクシュアルウェルネスについて家族や友達とも話す環境で育ちました。今でも、生理痛の悩みやデートしている人とのセックスについても相談します。

最初に家庭内で話したのは、13歳ぐらいのとき。母と一緒に本屋に行って、セックスや避妊の仕方などについての本を渡されたことをよく覚えています。家庭内での性教育の一環だったと思いますが、本のなかでは、性的同意や健康的な交際などまではフォローされていませんでしたね。

――ご自身は学校でどんな性教育を受けましたか?

 

私が学生だった15年前のことなので今はどうなのかはわかりませんが、当時は「生殖にまつわる授業」がメインでした。今は社会的にも、ジェンダーや性的同意などについて議論されているので、学校での性教育自体も変化していると思います。

実は今私が住んでいる家の近所に、ジェンダーやセクシュアリティについての相談ができる、子どものための施設があるんです。4〜18歳までの子どもが通っているそうですが、私の幼少期に比べてジェンダーのトピックは注目されていると実感しています。

 

――「生理」についてよく話題になるトピックはありますか?

 

ピルの使用が一般的なオランダですが、一部では自分の生理周期をきちんと理解し、いつ排卵しているかを知るためにあえてピルの使用を控えている人もいます。

“自然に戻る”というのがトレンドのひとつになっていて、アーユルヴェーダをライフスタイルに取り入れている人もいますね。まずは自分の体質を知り、それぞれに合った対処をするという考え方が浸透してきているのだと思います。

――「男性の健康」としてよく話題になるトピックはありますか?

メンタルヘルスが今話題ですね。これまでは男性がメンタルヘルスについて率直に話す機会はあまりなかったのですが、コロナ禍による環境の変化、孤独感、不安、ストレスなどにより、もっと自分の気持ちをオープンにしよう、という動きになってきています。

これまでもセラピーに通う文化はありましたが、自分の感情と向き合うことの大切さが、今改めて見直されているのだと思います。

――「更年期」に対してはどんなイメージがありますか?

多くの人が恥ずかしいものだと思っているような気がします。セックスや生理などとは異なり、話題になることもあまりありません。

更年期について話題に上がらないのは、「エイジング」と直結しているからだと思います。私も自分がその年齢になったら、少し恥ずかしく感じるかもしれません。まったくそんなことはないのに急に歳をとった気持ちになるだろうし、以前までの自分を失ってしまうのではないかという不安も正直あります。

――2001年、世界で初めて同性婚が合法化されたオランダですが、「多様な性」に対して社会全体としてどう向き合っていると思いますか?

私はアムステルダムの近くに住んでいるのですが、アムステルダムではセクシュアリティをオープンにしている当事者もたくさんいます。同性婚はもちろんのこと、性別適合手術へのサポートがあるなど国としての制度は整いつつあります。

しかし、正直なところ「100%平等」と言えるようになるまでには時間がかかる気がします。悲しいことですが、信仰や地域によっても考え方は違ってきますし、2017年には東部のアーネムで手をつないでいたゲイのカップルが暴力を振るわれるというヘイトクライムもありました。そのときに様々な議論がされましたが、まだ課題は残されています。

▲2017年のアーネムでの暴行事件直後、「#allemannenhandinhand(男性はみな手をつなごう)」というハッシュタグとともに男性同士が手をつなぐ写真が拡散。アッシャー副首相(当時)など著名人たちが参加。

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