※本記事は2023年11月11日にWomen's Healthで掲載されました。
ケイト・ウィンスレットの最新映画は控えめに言っても激しい。モデルから報道カメラマンに転身し、第二次世界大戦の前線に赴いたリー・ミラーのキャリア人生を追う伝記映画『リー(原題)』の中で、ケイトは例のごとくミラーになりきり、数々の伝説的なシーンを残した。その中の1つがトップレスになるシーン。
47歳のケイトには、カメラの前でヌードになった経験が何度かある。でも、今回のヌードシーンの撮影は、ケイトが背中のケガから回復する前に行われたため、体を絞る暇もなく挑まなければならないという点で精神的にキツかった。ケイトは当時を振り返り、「体がぶよぶよの状態であることを受け入れて、それを隠さず見せるのには相当な勇気が要った」とイギリス版『Vogue』に語っている。
ケイトが何より優先したのはミラーのストーリーを正確に伝えること。「私は、自分の体を批判することに貴重なエネルギーを費やすほどバカじゃない」とケイトは続ける。「こういうときは、どんな女性も『私なら大丈夫。人にどう思われても気にしない。これが私なんだから、私らしくやればいい』と考えたほうがいい」
ケイトは有言実行で、ビキニ姿のシーンにも「なるようになる」という考え方で向き合った。「撮影クルーの1人に『もう少し背筋を伸ばしたほうがいいかも』と言われたから、『どうして? お腹のぜい肉が見えるから? むしろ見せなきゃダメでしょう!』と言い返したわ」
2021年のドラマシリーズ『メア・オブ・イーストタウン/ある殺人事件の真実』で、小さな街に住むシングルマザーの刑事メア・シーアンを演じたときもケイトは同じ信念を持っていて、セックスシーンで見えたケイトのおなかのぜい肉を監督のクレイグ・ゾベルが修正しようとしたときは猛反発したという。
『ニューヨーク・タイムズ』紙によると、ケイトは「絶対やめて!」と言ったらしい。メアは「欠点を持ちながら立派に働く普通の女性。彼女の体と顔は、これまでの人生と年齢に応じた動きをするべき。私たちは、そういう(リアルな)描写に飢えている」。実際に視聴者はメアのリアルさを高く評価した。「明らかにフィルターがかけられていなかったから、人々はメアという人物に強く共感してくれたんだと思う」
嘘偽りのない描写にかけるケイトの想いは、自分の体をバカにされた駆け出し時代に培ったもの。「あれはイジメと言っても過言じゃない」とイギリス版『Vogue』に語ったケイト。「いつも、お前の体形はダメ、その現実を甘んじて受け入れろと言われていた」
幸いケイトは、彼らの言葉を信じなかった。そして、ダメだったのは彼女ではなく明らかに彼らのほう。
※この記事は、アメリカ版『Prevention』から翻訳されました。
Text: Kayla Blanton Translation: Ai Igamoto