月経周期に合わせて、心身には様々な変化があるもの。生理痛やPMSといった症状に加えて、バストに違和感を感じたことはない? 実は生理前には、女性ホルモンの影響でバストが増量することも。今回はそのメカニズムや、張りや痛みを感じたときの対処法などについて、婦人科医の先生へ伺ってみた。
今回お話を伺ったのは…
「霞が関ビル診療所」婦人科医の丸山綾先生
1999年、日本大学医学部卒業。駿河台日本大学病院(現日本大学病院)、丸の内クリニックなどでの勤務を経て、霞が関ビル診療所に勤務。専門は産婦人科一般と漢方診療。医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本東洋医学会漢方専門医としても活躍。
バスト増量のメカニズム
家族や友人から「生理前だから胸が大きくなる」なんて一言を聞いたことはない? このバストの増量は、月経周期や女性ホルモンと密接な関係があるもの。
ツムラが15歳~49歳の生理の経験がある6,000人を対象にした生理・PMS(月経前症候群)への本音調査によると、生理前後の胸について、
- 胸がパーンと張った感じ(43歳 長崎県)
- 二の腕から胸が腫れて眠れないほど痛い(43歳 東京都)
と訴える人も。そこで、生理に合わせて胸が膨らむ仕組みや、個人差がある理由、年齢による変化について、丸山先生に質問してみた。
生理周期にバストが大きくなる原因
「女性ホルモンには2種類、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモンがあります。月経周期によってこれらが増減を繰り返しますが、月経前は両方、特に黄体ホルモンが、月経中は主にエストロゲンが増加します。この黄体ホルモンが乳腺に水分を溜めてバストを膨張させるのです」
大きくなる人と、ならない人がいるのはなぜ?
「黄体ホルモンの作用でバストの増量が起こるのですが、ホルモンの分泌量や、ホルモンに対する感受性は個人差があるもの。そのため、人によって症状に差が出ることになります」
年齢による変化はある?
「年齢差というよりは、個人差の方が大きいと思います。とはいえ、月経周期のホルモン分泌がメリハリのある年齢の方が、症状は出やすい傾向にあるかもしれません」
バスト増量時期に気をつけたいこと
生理前、いつもより敏感になっているバストを守るためにできることとは? 症状悪化を防ぐための食事法や、ブラジャー着用時の注意点を丸山先生にASK! バストに大きな変化を感じなくとも、体のために取り入れたいTIPSをぜひ覚えておいて。
この時期に控えたい食べ物
「辛いものや香辛料といった刺激物の摂取は避けた方がいいでしょう。特に月経前は黄体ホルモンの作用で、体が水分をため込む方向にシフトします。塩分を取りすぎてしまうと、それが悪化する恐れがあります」
ブラジャー着用時の注意点
「ブラジャーに関しては、基本的には体を締めつけないものを選ぶのがよいと思います。ノンワイヤーにして食い込みを防ぐ、カップサイズが変化する人はサイズ調整、揺れて痛みが出る場合はサポートタイプにするなど、個人の症状に合わせて調整するとよいでしょう」
バストの張りや痛みの対処法
毎月の生理とともに訪れるバストの張りや痛みを改善したい …と思っている人へ、簡単な対処法を伝授! また、それだけでは収まらない場合は、医療機関の受診も視野に入れて。バストに感じた違和感が、大きな病気につながっている可能性も考えられるのだとか。
バストの張りや痛みを感じた時にできること
「これに関しても個人差があり、冷やして楽になる方と、温めて血流を良くすると楽になる方がいます。自分がより楽になる方を選んでみてください。また、低用量ピルを服用し、ホルモン分泌を一定にすることで、症状が軽くなることも多いです。ただし、副作用で服用初期に一時的に胸の張りが強くなることもあるのでご注意を」
バストの違和感が病気につながっている可能性は?
「月経周期に合わせて、毎回同じようなタイミングでの症状ならまず問題ないと思います。しかし、月経周期に関わらず症状が持続する場合は、乳腺症や、ごくまれに乳がんなどもあり得ます。まずは1年に1回の乳がん検診を徹底すること。また数カ月単位で月経周期によらない症状が持続するようならば、医療機関の受診を検討してみてください」
月経周期の心身の変化は個人差が大きいからこそ、体に出される小さなサインも見逃したくないもの。まずは毎年の誕生月に乳がん検診を行うなど、バストについて考える機会を意識的に作ってみては?