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PeopleImages / Getty Imagesyou must not be defeated
Harper's Bazaar

無意識に傷つけてない? 流産した友人に言ってはいけない6つのこと

※本記事は2024年2月23日にHarper's BAZAARで掲載されました。

ほとんど感じられないくらいだが、室内で“何か”が変わった。壁の時計は相変わらずうるさい音で時を刻み、私の紙製のガウンはエアコンの風でカサカサと音を立てていた。が、私のお腹に超音波のスキャナを当てて動かしていた産科医が無口になっていた。

その前夜の出血は軽いもので、淡いピンクの血液が数滴あったくらい。ほぼ何もないに等しく、私は特に心配していなかった。初めての妊娠の時も、同じようなことが数回あったけれど、丈夫で健康な、私の目から見れば完璧な娘が生まれた。今回、妊娠10週目だった私は、超音波検査で2人目の赤ちゃんの心臓部が驚くほどピクピク動くのを既に見ていた。

医師がボタンを押すと、聞き覚えのあるプリンター音が鳴った。安堵の気持ちが込み上げる。医師は写真をプリントアウトしていた。粒子の粗いそのモノクロ写真を私は家に持ち帰って、冷蔵庫のドアに貼るはずだった。しかし彼女(医師)はそれを私に渡さず、フォルダーの中にしまい込んだ。

そして「残念ですが、心臓の鼓動がありません。1週間くらいなかったのではないかと思います」と言った。

私の体は赤ちゃんを宿していた。その赤ちゃんの命が止まった。最悪なことに、私はそれに気づきもしなかった。

医師は私の目を見て、そう言ったのだったか、憶えていない。憶えているのは、彼女が超音波写真をフォルダーに入れて部屋を出て行き、まるで私は乱暴な強盗にでも遭ったような気持ちになったということだけだ。

「戻ってきて」と、私は叫びたかった。それは私の写真よ。私の赤ちゃんよ。でも、私はただそこに横になって天井をじっと見つめていた。超音波検査で塗ったゼリーがお腹の上で乾いて冷たくなっていた。

それが14ヶ月のうちに3回続いた流産の1回目だった。私は、女性の1%に起こる不運な不育症の一人だ。広範に及ぶ、時に侵襲的な検査をしたにもかかわらず、誰にも原因はわからなかった。

友人や家族の愛と励ましに私は幸せだと感じたけれど、(どんなに善意があったにせよ)何気ないコメントに傷つくこともあった。それをここでシェアしようと思う。批判ではなく、流産に深く悲しむ人とその人を心配する人たちが少しでもラクになることを願って。


1. 「心配しないで。赤ちゃんはまたできるから」

もちろん、これは励ますつもりで言っているのだし、その楽観主義に私は感謝する。でも、流産後の私はその赤ちゃんを悼む時間が欲しかった。赤ちゃんを失う辛さの最たるものの一つは、そのお腹の中の短い命を知り、愛していたのは自分だけだという感情だ。その子を悼む前に次の赤ちゃんのことを考えるよう急かすと、孤独や悲しみを全て一人で抱える気持ちが増すだけだ。

2. 「鍼をやってみたことはある?」

あるいは瞑想とかクルミを食べるとか、治療薬や治療法の数々。私のためにと友人たちはおそらく必死にググったのだろう。しかす、「大量にブルーベリーを食べようと逆立ちしようと、妊娠することもその状態を保つこともできません。悲しんでいる時に、根拠のない、あるいは単純化し過ぎたアドバイスを聞くと友人関係にヒビが入る可能性があります」とジェシカ・ザッカーは言う。彼女は生殖や母親のメンタルヘルスを専門とする心理学者で、自身の流産のトラウマを書いた『I Had a Miscarriage』がベストセラーになった。

3. 「少なくとも、妊娠できることはわかっているのだから」

こう言う人がうんざりするほどいて、私はいつも驚く。私は流産した後、あまりに出血がひどくて救急車で病院に駆け込んだことがあった。その時ほど自分が死ぬかもしれないと思ったことはなく、妊娠検査でマイナスの結果が出ることより、あの経験の方が恐ろしかった。

「“少なくとも”で始まる意見は大抵問題があります」とザッカー。これは、妊娠の苦労に関することだけでなく、友人とのあらゆる会話に言えることだと彼女は指摘する。「辛いことを話すことにはとても戸惑いがあるもの。だから友人と一緒にただ悲しむより、“前向きに考えよう”と未来に向かって気持ちを引き上げようとするわけです。でも、それはその人が経験したことを過小評価する方向にしか働きません」

4. 「妊娠何週目だったの?」

この質問に私はいつも面食らった。自分が妊娠したと思っていた週数を言うべきなのだろうか、それとも、医師が赤ちゃんの心拍が止まったと推察する時の週数だろうか。あるいは私が手術を受けた時とか出血を誘発する薬を飲んだ時を言えばいいのだろうか。妊娠の約3%が“見逃された流産”に終わる。つまり、超音波検査で心拍がなかった以外は何の症状もなかったということ。この質問に答えるのは不可能な女性が多いのだ。

この質問は、赤ちゃんがお腹の中にいた週数で測られ、詮索し過ぎにも感じられる。「もちろん、妊娠後期に赤ちゃんを失うと肉体的に違いがありますが、妊娠初期でも後期でも絶望感は同じです。誰にそれが判断できるでしょう? 深く悲しんでいる人を支える最良の方法は、もっと全体的にその人が経験したことや気持ちを聞くことです」とザッカー。

5. 「5回も流産した人を知っているわ」

ストーリーを共有し共通点を見つけて強調するのは人間の本能。が、赤ちゃんを失って苦しんでいる人はもっと苦しむことなど想像したくない。「共感から出てきた発言だと思いますが、恐ろしい話を聞かせるのは、その人を殻に閉じ込め、悲しみや絶望感を胸にしまわせてしまう可能性があります」とザッカー。

6. 「原因はわかっているの?」

おそらくあなたの友人は、そのことばかり考えている。妊娠がわかる前にワインを1杯飲んだのがいけなかったのだろうか? 激しくワークアウトし過ぎたからだろうか? 前世で何かしたことに対する残酷な償いだろうか? が、ほとんどの女性は流産の原因が全くわからないというのが事実。それを思い出させることは苦しみの限界を超えている。

その代わりに言うべきこと、すべきこと

私の最も賢い親友の一人で、妊娠第2期に流産した経験があるハナには、難しいことを友人に話す際に決めている素晴らしいルールがある。それは、その人が気持ちやどう対処しているかを話せるようになるべくたくさん質問し、大いに共感を示し、はっきりと頼まれない限りは「決して物事を解決したりアドバイスを与えようとしない」ということ。

できれば、ホームメイドの料理を届けたり、元気づけるものを送ったりしよう。もちろん、それで流産をなかったことにはできないけれど、自分のことを思ってくれる人たちがいるのはいつだって嬉しい。

心からの共感の言葉を少しかけるだけでもかなり違う。私は、また流産したと説明した時に「残念ですね」とも言わない多くの医療スタッフの冷淡さにすぐ慣れた。だから、ある日、健康保険の代理人が立ち止まって「お気持ちお察しします。辛いですよね」と言ってくれた時は心底ジーンときた。

何より、友人のそばにいて、彼女が望むなら悲しみを声に出す機会をあげること。「この種のトラウマは友人関係や家族関係をガラリと変えてしまう可能性があります。こうした人生の困難な時に一緒にいるのは大変ですが、それが真の友情というものです」とザッカーは明かす。

※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

Translation: Mitsuko Kanno From Opera Daily

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