※本記事は2023年5月25日にELLEgirlで掲載されました。
5月28日は世界月経デー(World Menstrual Hygiene Day)。月経について改めて考え、認知を高めよう、というこの日にあわせて、本記事では「アプリケーター無しのタンポン」に着目。
別名「デジタルタンポン」とも呼ばれる、アプリケーター無しのタンポンは、環境意識の高まりからも注目されているそう。ヨーロッパで登場したアイデア商品から、韓国で生まれた新ブランドまで、マーケットの様子をお届け。
アプリケーター無しのタンポンとは?
プラスチックのアプリケーターが付属しない、アプリケーター無しのタンポン。ヨーロッパの国々やオーストラリアなどでは、広く普及していて、アプリケーター付きのタンポンよりもユーザーが多い地域もあるとか。海外の薬局などで、見たことがあるガールも多いかも?
通常は衛生を保つためのフィルムに包まれていて、アプリケーターの代わりに、指などを使って挿入する。「指」を意味する「デジタル(digital)」という言葉を使って、別名「デジタルタンポン」と呼ばれることも。
実は昔からあるアイテム
歴史は古く、初めて開発されたのは1940年代のドイツでのこと。アプリケーターが無いぶんコンパクトで、一般的なタンポンが約10〜15cmなのに対して、アプリケーター無しのタンポンは、約3〜4cmと、三分の一ほどのサイズ感。小さくて持ち運びしやすいことに加え、アプリケーターが付属しないぶん、ブランドによっては比較的安価だったり、プラスチックの使用量が少なく、環境にやさしいことも支持されている理由のひとつ。
o.b. Organic Tampons Regular 24Count
o.b.
$14
例えば、アプリケーターなしのタンポンの老舗として知られるドイツのブランドo.b.のタンポンは、アプリケーター付きに比べ、アプリケーター無しの ほうが一個あたり安価で販売されている(編集部調べ)。
韓国では”新たな生理用品”として登場
韓国では今年3月、韓国産ブランドとして初めて、アプリケーター無しのタンポンが発売された。開発に取り組んだのは、オーガニック生理用品のスタートアップとして知られるHappyMoonday。日本と同じく、アプリケーター無しのタンポンはあまり知られていない韓国だけれど、発売に踏み切ったのはユーザーからの声がきっかけ。HappyMoondayの担当者は、
「HappyMoondayのデジタルタンポン(アプリケーターなしのタンポン)は、2020年にお客様からいただいた一通のメールから始まりました。留学中にデジタルタンポンを使ってみて、とてもコンパクトで簡単で快適だったという体験談とともに、このような生理用品を製造してほしいというリクエストを頂いたのです」とコメント。
これには予想を超えた反響があり、初期の製品発売プロモーションでは目標売上高の121%を達成。これまで海外製のデジタルタンポンを使用していたユーザーはもちろん、新規のユーザーからも「使い方が簡単で便利」、「よりシンプルなライフスタイルに満足している」といったフィードバックが寄せられた。
「コンパクトなデジタルタンポンは、シャツやパンツのポケットにも無理なく入るので、生理用品を入れたポーチを持ってトイレに行くストレスからも解放してくれるアイテムです。トレンドのミニバッグとも相性が良く、好きなおしゃれを楽しんだり、女性の選択肢を増やしてくれるはずです」。
日本のアプリケーター無しタンポン
日本では、国内で唯一の製造元として、ユニ・チャームがアプリケーターなしのタンポン「エルディ」を販売中。衛生面を気にするユーザーのため、「エルディ」には、血液が指につかないようにするためのフィンガーベールが、タンポン1つにつき1枚ずつ付属するのが特徴。
ただ、日本でタンポンを常用している人は約2割と少数派。使い方が難しい、というイメージがあるようで、最近では、膣口に当てるだけで使える「ソフィ シンクロフィット」など、国内で独自の進化を遂げるアイテムも人気。日本で、アプリケーター無しのタンポンが増えるには、もう少し時間がかかりそうな印象。
エルディ タンポン フィンガータイプ 特に量の多い日用 60コ入
エルディ
¥1,750
脱プラスチックのコンセプトが北米で人気
アメリカをはじめとする北米市場でも、数年前からデジタルタンポンが見られるように。オーガニック生理用品ブランドとして急成長を遂げるLOLAやCoraも、ブランド創業初期からアプリケーター無しのタンポンを展開している。
例えば、2016年から販売されているLOLAの「ノンアプリケータータンポン」には、コンパクトで目立たない、環境にやさしいので気分が良い、小さくて快適!といったレビューが寄せられている。
Cora 100% Organic Cotton Non-Applicator Tampons | Ultra-Absorbent, Unscented, Natural, Non-Toxic, Applicator Free | Eco-Conscious (54 R/S/S+ Tampons)
Cora
$22
指を使って、衛生面は大丈夫?
アプリケーター無しのタンポンは、指を使って挿入するため、衛生面が大丈夫か気になる人もいるかもしれない。けれど実際には、説明書通りに使用すれば清潔に使用できるのだそう。
HappyMoondayの担当者は「生理用品において衛生面が重要であることに、私たちはこれ以上ないほど同意しています。使用前に手を洗うことを推奨していますが、指が無菌状態でなければならないというわけではありません。デジタルタンポンはフィルムで安全に梱包されており、説明書通りに使用すれば十分に清潔です(最初にフィルムの下半分をはがし、最後に上半分をはがしてタンポンを挿入します)」。
最初は難しく感じるかもしれないけれど、コツをつかめばあまり難しいことではない、と説明するのは、ドイツの老舗ブランドo.b.。
「そもそも身体には、天然のアプリケーターともいえる仕組みが備わっています。一般的にアプリケーターはまっすぐな形状ですが、実際に膣は湾曲していて、人それぞれ形が異なります。そのため、指先を使用することで、自分のラインに沿った、最も快適に感じる場所にタンポンを配置することができるのです。タンポンを膣の奥に挿入してしまう心配もありません。物理的に不可能です」。
アプリケーター有無のメリットを合わせたハイブリッド型も登場
デジタルタンポンのエコでミニマムな特徴と、アプリケーターによる利便性を両立させたアイテムも登場。2019年にイギリス発のスタートアップ・DAME.が販売開始したのが、再利用可能なアプリケーター。
シックなグリーンカラーが目を引く「リユーザブルタンポンアプリケーター」は、リップスティックサイズで、最長10年、約3,000回の使用が可能。医療デバイスに使用される素材(Mediprene®とポリプロピレン)を使用した本体は、水洗いが可能なほか、素材自体にも抗菌効果が認められている。クラウドファンディング・キックスターターで成功を収め、商品化が実現したこのアイテムは、プラスチックの無駄な使用を避けたいけれど、アプリケーターの利便性も捨てがたい、というユーザーから支持されていて、日本を含むほとんど全ての国と地域から注文可能。
身体にも環境にも優しい商品が増えてきている生理用品市場。日本では、タンポンユーザーが比較的少なく、商品や情報も多くはないけれど、これからはアプリケーター無しタンポンや、再利用可能なアプリケーターが市民権を得るようになる日も遠くないかも? 自分らしい生活を送るための選択肢として、気になった人はぜひチェックしてみて。