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Pexels本記事では、専門家による解説をもとに、スペクトラセクシャルについての定義やその他のセクシュアリティのと違いを解説します。 tiktokでは spectrasexual の視聴が124万回超え! 混同されやすいパンセクシャルやオムニセクシャルとの違いや、lgbtqコミュニティ内で議論になりやすい理由などを解説。
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専門家が解説!注目度が高まる「スペクトラセクシャル」の定義と傾向

※本記事は2023年7月3日にCosmopolitanで掲載されました。

「近年、LGBTQ+コミュニティでは絶えず言葉が進化し続けています」と話すのは、心理学者のルーク・アレン博士。人々は、自分の指向や経験をよりよく説明するために新しい用語をつくったり、発見したりしているのだと言います。

そんな新たな言葉の一つが、「スペクトラセクシャル」。そこで本記事では、専門家による解説をもとに、スペクトラセクシャルについての定義やその他のセクシュアリティのと違いを解説します。

自分が心地よく感じられるセクシュアリティを見つける作業は、とても個人的なもの。必ずしも定義や言葉に縛られる必要はありませんが、新たなアイデンティティを知ることで自分自身の理解が深まるかもしれません。

スペクトラセクシャルって何?

スペクトラセクシャルとは、様々な性的指向の人々と、恋愛的・性的、あるいは感情的な結びつきを持つ人々のこと。

スペクトラセクシャルは、「パンセクシャル(魅力を感じる相手の性的指向や性自認を問わない。全性愛者)とも」や「オムニセクシャル(魅力を感じる対象の性自認を問わない)」とはやや異なるものの、いずれもさまざまなジェンダーやセクシュアリティの人々に魅力を感じるという点では共通しています。

比較的新しい用語である、スペクトラセクシャル。2006年に初めてオンライン上で使用されたという記述もあるほか、2015年に発表された<Psychology of Sexual Orientation and Gender Diversit>でもこの用語が挙がっており、派生的な性的指向の一つであると簡潔に書かれています。最近になって関心が高まっており、TikTokでは#spectrasexualの視聴が124万回を超えています。

性や家族関係を専門とするセラピストのレイチェル・ザー博士は、スペクトラセクシャルについて次のように解説。

「スペクトラセクシャルとは、(肉体的に、または・そして精神的に)さまざまな性、ジェンダー、ジェンダーアイデンティティの人々に魅力を感じることを示しています」

もっとも、スペクトラセクシャルの人々は誰もがすべてのアイデンティティの人々に魅力を感じるわけではなく、特定のジェンダーやセクシュアリティに魅力を感じる傾向があるのだとか。

「スペクトラセクシャルの人は複数の性やジェンダーにひかれますが、そのすべてである必要はありません」(性的指向や性自認を専門とする臨床心理学者のジャック・バーテル博士

心理療法士のリー・フィリップスさんは、この言葉が表しているのは「性の流動性」であるとしています。

「スペクトラセクシャルという言葉を見ると、その中にスペクトラムという言葉が入っているのがわかります。性的指向や性自認を表す用語をめぐる文化が“二元論”を超えたところにシフトし続けているということが分かります」

パンセクシャルやオムニセクシャルとの違い

それぞれの定義には重なる部分があるものの、 混同されがちな「パンセクシャル」「オムニセクシャル」との違いについて、専門家に聞いてみました。

パンセクシャルとの違い

「パンセクシャルのアイデンティティを持つ人々は、自らのジェンダーにかかわらず、すべてのジェンダーに魅力を感じる一方で、スペクトラセクシャルの人々は複数のジェンダーに魅力を感じるものの、すべてのジェンダーではないという点です」(フィリップスさん)

つまり、スペクトラセクシャルとパンセクシャルの両方とも広範なアイデンティティを持つ人々に惹かれるものの、スペクトラセクシャルの人はその“すべて”にひかれるわけではないということ。

オムニセクシャルとの違い

すべての人々に魅力を感じると言われている「オムニセクシャル」。

オルバニー大学のコートニー・ディアレイドさんが過去に<コスモポリタン>に語ったところによると、オムニセクシャルは「相手のジェンダーや性的指向を認識しているうえですべての人々に魅力を感じる」と言います。パンセクシャルの人は、相手のジェンダーを認識しない状態で惹かれることもあるので、ここに違いがあると考えられます。

  • スペクトラセクシャル:様々なジェンダーや性的指向、性表現に惹かれるが、そこに制限があることも。
  • パンセクシャル:認識しているかしていないかに関わらず、あらゆるジェンダーや性的指向、性表現に惹かれる
  • オムニセクシャル:相手のジェンダーや性的指向、性表現を認識したうえで惹かれる

スペクトラセクシャルの傾向

アイデンティティの探求には、明確なガイドラインはありません。何かの機会に自分にしっくりとくるものに出合えるかもしれない一方で、長い年月をかけて紐解いていく人もいます。

認定インティマシー指導者のステラ・ハリスさんは、「スペクトラセクシャルという言葉が響くかどうか」を一つの基準にすることを勧めています。

「スペクトラセクシャルという言葉を聞いたときに、他のセクシュアリティに関する分類を読んだときには感じなかったような閃きがありますか? あるいは、映画やドラマを見ていて、すべてのキャラクターに惹かれていることに気づいた瞬間かもしれません」

また、他の分類では自分の価値観が捉えきれないと感じる場合にも、スペクトラセクシャルを見出すかもしれません。

「ストレートやバイセクシャルだと、どこか窮屈な感じがするのであれば、スペクトラセクシャルを含む性的指向が合っている可能性もあります。そのうえで、オムニセクシャルやパンセクシャルという言葉では、あなたが“特定”の性やジェンダーに対して強くひかれることが説明できないと感じるかどうかを考えてみましょう」

確信が持てない場合には、他の性的指向やその定義を学ぶことも効果的。

「そうすることで、スペクトラセクシャルが自分の考え方や感情に一番合うかどうかをよりよく理解できるはず。LGBTQ+コミュニティの人やスペクトラセクシャルを自認する人々と話すことも参考になるでしょう」

LGBTQ+コミュニティ内で議論になることも

性的指向に名前をつけることは、存在を肯定して力を与えることでもある一方で、限定することに繋がるという考え方も。

臨床心理学者のジャック・バーテル博士は、スペクトラセクシャルという言葉にまつわる議論について、次のように解説します。

「この言葉が、一部の人に“差別の手段”を与えると考える人もいます。たとえば、自分はスペクトラセクシャルで、すべての男性にひかれるけれど、トランスジェンダーの男性にはひかれない、と言う人がいるとします。あるいは、すべての女性にひかれるけれど、トランスジェンダーの女性にはひかれない、と。これはどちらもトランスジェンダーの人々にとっては有害で危険なものです。トランスジェンダーの女性は女性だし、トランスジェンダーの男性は男性なのですから」

バイセクシャルを自認する認定インティマシー指導者のステラ・ハリスさんは、スペクトラセクシャルを含む言葉が、他の同様の分類に関する混乱を呼び起こす可能性を懸念しています。

「私は人々が自分のアイデンティティを探す、あるいは発見するためのいかなる言葉やツールにも賛成の立場です。一方で、スペクトラセクシャルには、パンセクシャルなどに抱くのと同様の懸念を抱いています。つまり、これらの用語がバイセクシャル嫌悪やバイセクシャルの消去につながるのではないかと心配です」

とはいえ、一つの言葉で自分や自分が惹かれる対象を完全に捉えることはなかなかできないもの。そして、言葉は人間の在り方と同様に常に進化し続けるものです。

「何かの分類に自分を当てはめることができるのは自分自身だけですし、性的指向は流動的なもので、人生を通じて変化する可能性があります。いつでも、自分にとって心地よいと感じる分類に変えることができるのです」(性や家族関係を専門とするセラピストのレイチェル・ザー博士

今のあなたが「スペクトラセクシャル」を心地よく感じるなら、それは素晴らしいこと。パンセクシャルの方がしっくりくるならそれでも良いですし、どちらも使うということもできます。大切なのは、自分が心地よく感じられる言葉や定義を使うことで、自己理解が進んだり力づけられることなのです。

※この翻訳は、抄訳です。
Translation:mayuko akimoto 
COSMOPOLITAN US

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