※本記事は2021年8月12日にWomen's Healthで掲載されました。
髪にハリやコシがなくなって、セットが決まりにくい。ふと見た鏡に、薄くなった頭頂部が映ってドキッとする。一方で、黒々とした太い毛があごにポツポツ生えてきて……。と、毛にまつわる心配ごとはさまざま。そこで、スポーツドクターで婦人科医の高尾美穂先生に、〝毛″にまつわる疑問を聞いた。
エストロゲン分泌の低下で起こる女性の薄毛
髪の分け目で地肌が目立ってきたり、セットしてもぺったんこだったり……。加齢に伴うホルモンバランスの変化は、女性の薄毛にも関係があるのだろうか。
「一般的に更年期を迎える40代後半から閉経に向かった、エストロゲンの分泌量が低下することで髪が柔らかくなり、抜けやすくなるため、髪の量も減っていきます」
対策としては、血液循環をよくする頭皮マッサージを行ったり、バランスのよい食事を心掛けたりといったことが挙げられる。育毛剤を試してみるのもいいかもしれない。
「エストロゲンと似た働きをするエクオールをサプリメントで摂取するのも一手です」
血液循環を良くすることがいいのであれば、定期的にスポーツをして汗をかき、新陳代謝を良くすることも薄毛対策としてつながるのだろうか? そして、更年期以外の女性の薄毛もエストロゲン低下の影響が?
「定期的にスポーツを行うことは、症状に限らず、何に対しても体に良いのは当然です。しかし、スポーツを行うことと薄毛対策が直接的に関係あるとは言えないです。また、エストロゲン分泌量の低下がないはずの年代の女性が薄毛になっているのであれば、エストロゲンとは関係ないので、他の原因を探す必要があるでしょう」
あごの髭は気にしないのがいちばん!
頭の毛は減っていくのに、あごに太いヒゲが生えてきて、気になるという人もいる。その原因は?
「毛については、まだ解明されていないことが多いです。白髪になるメカニズムも、メラニン色素が関係しているとは言われていますが、それ以上のことはまだはっきりとわかってはいません。あごに毛が生える理由も、女性ホルモンが影響しているかどうか、それは『わからない』が現状の答えです。私も生えてきますけど、すごく気になるようだったら、抜けばよいだけ。体に影響はありません」
女性の〝オス化″はメディアが作った幻想
あごに髭が生えてきたことで、自分がいわゆる〝オス化″したんじゃないかと心配する人もいるけれど?
「〝オス化″はしません! 加齢によってエストロゲンの分泌量が減ったからといって、男性ホルモンの値が高くなることはないです。ただ、多嚢胞性卵巣症候群という病気は、卵巣で男性ホルモンがやや多く分泌され、すねや太ももの裏、陰部などが毛深くなる症状が表れることがあります。それでも、女性と男性は、ホルモン状態がまったく違う生き物。互いのカラダが近づくということはありません。女性の〝オス化″や男性の〝女性化″は、メディアがわかりやすくインパクトを出すために作った表現だと認識してください」
Text: Sakiko Koizumi