「より多様性のある美しさを表現したい」と活躍するトランスジェンダーモデル。そんな彼らはファッション界でさまざまな“初めて”の記録を作り、歴史に名を刻んでいる。なかには、モデルの壁を超えてエンタメ界へはばたくモデルも。そこで、今知っておきたいトランスジェンダーモデル10名をご紹介!
ヴァレンティナ・サンパイオ(Valentina Sampaio)
ブラジル出身、25歳のヴァレンティナは2019年にトランスジェンダーモデルとして初めて「ヴィクトリアズ・シークレット」のキャンペーンに起用された。さらに2020年、雑誌『スポーツ・イラストレイテッド』の水着特集号にトランスジェンダーモデルとして初めて登場し大きな話題に。
US版『エル』やイタリア版『ヴァニティ・フェア』、ブラジル版『ヴォーグ』の表紙を飾り、「ロレアル」や「ディオール」のブランドの顔にも選ばれた。そのゴージャスな顔立ちは規格外!
テディ・クインリヴァン(Teddy Quinlivan)
「ルイ・ヴィトン」のクリエイティブ・ディレクター、ニコラ・ジェスキエールに2015年にスカウトされ、同ブランドの2016秋冬コレクションでモデルデビュー。その後、「ディオール」や「サンローラン」などハイブランドのショーに出演。
2017年にトランスジェンダーモデルだということを公表してからもキャリアは絶好調で、2019年には「シャネル」のビューティーラインの顔にトランスジェンダーモデルとして初めて選ばれた。
過去に仕事やプライベートも含めて性的暴行を受けた過去があると明かしたテディは、そのような容疑がかけられたことのあるブランドやデザイナーとは仕事をしないと話している。
リア・T(Lea T)
リア・T(本名はレアンドラ・メディロス・セレッソ)はブラジル出身、イタリア育ちの現在41歳。
彼女を一躍有名にしたのは、「バーバリー」のチーフ・クリエイティブ・オフィサーであるリカルド・ティッシ。当時「ジバンシィ」のクリエイティブ・ディレクターを務めていたリカルドにとってリアはミューズだった。ゆえに、2010年秋冬コレクションのキャンペーンにトランスジェンダーモデルとして初めて登場。そんなリカルドへの敬意と感謝を表して、リアは芸名にティッシ(Tisci)の“T”をつけた。
それからというもの、『ヌメロ』や『エル』、フランス版『ヴォーグ』の誌面を飾り、2014年にはヘアケアブランド「レッドケン」の顔となった。「レッドケン」がトランスジェンダーモデルを起用するのはこれが初。最近では「バーバリー」の2019年ホリデーキャンペーンに登場し、恩師のリカルドと再びタッグ組んだ。
ハンター・シェーファー(Hunter Schafer)
18歳で大手モデル事務所「エリート」と契約し、妖精のような透明感を武器に「ディオール」や「ミュウミュウ」、「メゾン・マルジェラ」、「リック・オウエンス」といった名だたるブランドのランウェイを歩いてきた気鋭モデル。
最近ではゼンデイヤが主演を務めるドラマ『ユーフォリア/EUPHORIA』に重要な役柄で出演し、女優としてもデビュー。今後はファッション業界はもちろん、エンタメ業界での活躍も期待!
インドゥヤ・ムーア(Indya Moore)
15歳のときにモデルとしてのキャリアをスタート。「ディオール」や「グッチ」などのブランドと仕事をしキャリアを積み、ドラマ「POSE/ポーズ」への出演がきっかけでブレイク。
同ドラマは、’80年代アメリカのLGBTQコミュニティを描き、テレビ史上初めて50名以上のLGBTQのキャラクターが出演して話題をさらった。
LGBTQコミュニティへの貢献を称えられ、2019年には雑誌『タイム』が選ぶ「世界で最も影響力のある100人」のひとりに選ばれた。
ライス・アシュリ(Laith Ashley)
アメリカ出身、33歳のライスはモデルだけでなく、シンガーや俳優としても活躍。19歳のときにトランスジェンダーという存在を知り、24歳に性別適合手術を受けた。
2014年に「カルバン クライン」の下着広告の写真がネット上で話題になり知名度がぐっとアップ。それからニューヨーク・ファッションウィークでランウェイデビューを果たし、『GQ』や『ヴォーグ オム』の誌面に登場し着々とモデルとしてのキャリアを積んでいる。
アンドレア・ペジック(Andreja Pejic)
長年ファッション業界で活躍するアンドレアは、そのジェンダーレスなルックスを活かし、2011年に「ジャンポール・ゴルチエ」と「マーク ジェイコブス」のメンズとウィメンズのルックに登場。けれど、トランスジェンダーとしてカミングアウトしたのは2013年だった。
それからトランスジェンダーモデルとして、化粧品メーカーと契約、数々の雑誌の表紙に登場、ファッションブランドのキャンペーンに登場などアンドレアは数々の“初”を手にしてきた。
レイナ・ブルーム(Leyna Bloom)
アメリカ出身のレイナは、モデル、女優、ダンサー、LGBTQコミュニティとブラックコミュニティのためのアクティビストと、多くの顔を持っている。2014年にモデルの仕事をはじめ、2017年にはファッション業界でトランスジェンダーを公表している数少ないモデルのひとりに。同年、インド版『ヴォーグ』にて、黒人のトランスジェンダーモデルとして初めて誌面に登場した。
また、2019年5月に主演を務めた映画『Port Authority(原題)』がカンヌ国際映画祭にて上映された。黒人のトランスジェンダーの女性が主役を演じた映画が、大規模な映画祭で上映されるのは史上初。そんなレイナは、トランスジェンダーモデルとしてのパイオニア的存在として知られている。
アイシス・キング(Isis King)
2008年に放送されたオーディション番組『アメリカズ・ネクスト・トップモデル』にトランスジェンダー女性として初めて出演し、その名を世の中に知らしめた。その後、「アメリカンアパレル」の広告塔に抜擢されたり、自身のファッションラインを手掛けたりしていた。
最近は女優としてのキャリアにフォーカスしており、2019年にNetflixのオリジナルシリーズ『ボクらを見る目』に出演した。
ネイサン・ウェストリング(Nathan Westling)
2013年に「マーク ジェイコブス」のランウェイでモデルデビューを果たしたネイサンは、当時は“ナタリー”という女性だった。“ナタリー”のまま「ルイ・ヴィトン」、「プラダ」、「ディオール」などのキャンペーンに登場していたが、2019年にトランスジェンダーであることを明かした。
それから、「マーク ジェイコブス」や「ヘルムート ラング」のランウェイを歩いたり、『デイズド』や『i-D』の表紙を飾ったりと、より一層モデルとして輝きを増している。