※本記事は2022年6月21日にCosmopolitanで掲載されました。
デリケートゾーンの“かゆみ”や“におい”に悩んでいる人は少なくないはず。
その解決策の一つとして、膣内洗浄器やビデ、デリケートゾーン用ソープなど、さまざまなアイテムが存在している一方で、洗いすぎてしまったり、正しく使えていなかったりする場合も多いのだとか。
今回は、産婦人科医の富坂美織先生に「膣内洗浄」やデリケートゾーンのケアについて取材。正しいお手入れ方法を学んで、心地よい状態をキープしましょう。
監修:富坂美織先生(産婦人科医)
膣の「自浄作用」
ムレやにおい、おりものや生理の経血など、日常的にデリケートゾーンや膣の状態について気になっている人も多いはず。
実は腟内は乳酸菌の働きで弱酸性に保たれており、腟内pHの値は3.5~4.5程度。これによって腟内に雑菌が入ってしまっても、繁殖しにくくなり、腟や生殖器が守られているとのこと。
この自浄作用によって、膣内を日常的に自分で洗う必要はなし。膣内の乳酸菌が減ってしまう可能性もあるため、デリケートゾーンを洗うときは膣の中まで洗わないように気を付けましょう。
「基本的に膣洗浄は、細菌性腟症や、処置の前など、必要な時だけ医療機関で行うというイメージでよいと思います」
デリケートゾーンケアの必要性
さまざまなデリケートゾーンケアの方法がある今。そのなかでも、代表的なアイテムの正しい使い方と注意点をご紹介。
膣内洗浄器(使い切りビデ)
SNSなどで話題になっている、精製水やジェルで膣内をケアする「膣内洗浄器」。「腟内を使い切りビデで洗いすぎると、腟内を守っている乳酸菌が流されてしまい、腟内バランスが崩れて自浄作用が低下してしまいます」と富坂先生はアドバイス。
膣内洗浄器は、生理の終わりかけにスッキリしておきたいシーンがあるときに使うなどして、使い過ぎには気を付けて。
「おりものの増加が気になって膣内洗浄器を使っている場合などは、細菌性腟症の可能性もあるので、病院で診てもらったほうがいいかもしれません」
デリケートゾーン用ソープ
日常的なボディケアとして多くの人が取り入れている、デリケートゾーン用ソープ。
外陰部を強いアルカリ性の石鹸で洗ったり、ボディソープなどで強く洗いすぎたりすると自浄作用が低下してしまう可能性が。デリケートゾーン用ソープも使用法を守って使い、刺激の少ないものを選びましょう。
「デリケートゾーン用ソープで洗う場合は腟内ではなく、必ず外陰部を洗ってください」
ウォシュレット
ウォシュレットに搭載されているビデ機能を、デリケートゾーンケアとして使っている人も多いはず。
ビデ機能を使う場合は、跳ね返り水などでノズル自体が汚れていることもあるので要注意。
「洗いすぎに注意するのはもちろん、ウォシュレットのこまめな掃除が大切です」
デリケートゾーンのにおいやかゆみが気になる場合
特に雨の多い時期、汗をかきやすい暑い季節には、通気性が良く締め付けの少ない下着がベター。また、下着の素材や洗剤も刺激の少ないものを選ぶのがポイント。
また、人体に存在するカビの一種であるカンジダ菌が急激に増えることで痒みやおりものの異常が起きる「カンジダ膣炎」にも注意しましょう。
「ムレやかゆみが気になるときはカンジダ膣炎などに罹ってしまっている場合もあります。いつもと違う症状があれば、病院を受診しましょう」
富坂美織先生
順天堂大学医学部卒業、東京大学医学部研修医、愛育病院産婦人科医を経て、ハーバード大学大学院へ留学。卒業後、マッキンゼーにて、コンサルティング業務に携わる。山王病院などを経て、現在は不妊治療が専門。順天堂大学医学部産婦人科教室非常勤講師。