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Eugenio Marongiu / Getty Imageslgbtqの若者を支援するイギリスの慈善団体「just like us」がセクシュアリティやジェンダーとの孤独の関係性を調査。すると、「最も孤独を感じやすいのはレズビアンの人々」であるという結果が。本記事では、レズビアンの人々が社会で孤独を感じやすい背景や実情を、専門家による解説をまじえてお届けします。
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背景には社会環境が…レズビアンの若者が孤独を感じやすい理由

LGBTQ+の若者を支援するイギリスの慈善団体「Just Like Us」がセクシュアリティやジェンダーとの孤独の関係性を調査し、「最も孤独を感じやすいのはレズビアンの人々」であるという結果を発表。

本記事では、その調査結果をふまえ、レズビアンの人々が社会で孤独を感じやすい背景や実情を、当事者による解説をまじえてお届けします。

若者を対象にした調査結果から分かったこと

同調査によれば、回答したレズビアンの若者の87%が孤独を感じているとのこと。また、最も親しい人との間にすら隔たりを感じるという声もあり、コロナ禍以降は「日常的」にこうした思いを抱いている人が60%にものぼっているのだとか。

これに対して、孤独や親しい人との隔たりを日々感じていると答えたゲイの若者は46%、バイセクシャルの若者は54%、トランスジェンダーの若者の割合は52%だったとのこと。

さらに同団体は、11歳から18歳の中高生2934人(うち1140人がLGBTQ+)を対象に「日常的にメンタルヘルスの悩みを抱えているか」を調査。「悩みがある」と答えたLGBTQ+の中高生が55%であったのに対して、LGBTQ+以外の中高生は約半分の26%という結果に。

社会からの関心や認識の低さが要因に

「Just Like Us」の広報・メディア部門責任者のエイミー・アシェンデンさんによれば、レズビアンの若者たちが孤独を感じやすい背景の一つに「社会からの関心や認識の低さ」があると言います。

「今回の調査で判明したのは、メディアや社会の大部分がレズビアンの経験をいかに黙殺してきたかということです」

「レズビアンの若者が生きづらさを感じているということは、(私たちにとっては)驚くことではありません。なぜなら、イギリスの社会では未だに、レズビアンという言葉がタブー視されている実情があるからです」

「こういった環境下で、当事者たちはこの価値観をある程度受け入れてしまっているでしょうし、後の人生で多々その意識を変える難しさに直面します。レスボフォビア(レズビアン嫌悪)やレズビアンが経験する困難や苦悩について、社会であまり語られてこなかったことも一つの要因です」

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Patricia Boyce / EyeEm / Getty Images

コミュニティ内で感じる孤独

またエミリーさんによれば、時にレズビアンの人々は反トランスジェンダーだと見なされ、LGBTQ+コミュニティ内でも孤独を感じることがあるとのこと。

「私たちレズビアンは時に、反トランスジェンダーだと疑われたり、無視されることもあります。実際には、トランスジェンダーとレズビアンの経験には多くの共通点があるうえ、トランスジェンダーでレズビアンの人もいるのにも関わらずです」

「欧米の一部メディアは、反トランスジェンダーが抱く敵意を報道し、若いトランスジェンダーに多大な精神的ダメージを与えています。それだけでなく、メディアはトランスフォビア(トランスジェンダー嫌悪)があたかも直接関係しているかのように、レズビアンコミュニティを非難することがあります。これも若いレズビアンと彼らのメンタルヘルスを著しく傷つけることになるのです」

同性愛嫌悪と性差別

ホモフォビア(同性愛嫌悪)とセクシズム(性差別)の両方に直面しなければならない、レズビアンの人々。エイミーさんは、自身の経験をこう振り返ります。

「こうした概念にさらされて育つと、男性と付き合わなくてはいけないといったプレッシャーを感じてしまう場合があります。特に私は、一般的に“男性的”と言われる容姿のレズビアンであるため、外に出れば男性に睨まれたり、“ダイク”という蔑称で怒鳴られることもありました」

レズビアンのための安全なスペースの欠如

エイミーさんいわく、以前からレズビアンが安全なスペースを確保したり、コミュニティでつながりを築いたりすることは困難なものだったとか。

「残念ながら、これまで形成されてきた多くのコミュニティが男性のためのものだからです。ヘテロセクシャルの女性がレズビアンと一緒にいると、居心地が悪そうだったり、気まずそうだったりするのを私は当事者として見てきました。また、ゲイの男性は型通りに迎え入れられることもありますが、それとは明らかに違うニュアンスで“レズビアン”という言葉を使われたことさえあります。そうした態度には疎外感を覚えることがあります。子どもであればなおさらですし、レズビアンであることは何か間違っていて、おぞましく、恥ずかしいという恐怖心も植え付けられます」

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Julien McRoberts / Getty Images

肯定的なメッセージの欠如

「Just Like Us」の調査によれば、中学生の大多数がこの1年間でLGBTQ+であることへの肯定的なメッセージを「ほとんど、あるいはまったく」受け取っていなかったそう。

「とりわけ、メンタルヘルスに悩んでいたり、性自認を受け入れてくれない家族と暮らす若者にとって学校は安全な場所であり、教師は自分たちを受け入れてくれる存在だと理解することが極めて重要なんです」

当事者であるマヤさんが明かす「孤独感」

17歳で、レズビアンとしての自分を受け入れたというマヤさん(仮名)。「今まででもっとも解放的な出来事だった」と語る一方で、セクシュアリティを隠しながらロックダウン下で家族と暮らす苦悩について明かしています。

「完全にあるがままの自分でいられないことで窮屈に感じます。私にとって安全であるはずの場所でそう振る舞えないのは、まるで自分の一部が隔絶されているような気がするんです」

「先日、レズビアンの友人とFaceTimeで話していた時、彼女がガールフレンドや他のLGBTQ+の話題を出したんです。私は焦ってすぐにヘッドフォンをつけ、家族から離れた階下に向かいました。女の子の話題や恋バナをする時は、ほとんどいつもささやくように、小声で話しています」

「家族はホモフォビアではないけれど、私は自分のことを話すのは好きじゃないので、打ち明けてはいません。これまで真剣な交際経験もなかったので、そのような話題が出ることもありません。でも、自分の性的指向は多少なりとも隠しておく必要があると感じています。普通とされるのは異性愛で、同性愛は公にする必要はあるけれど、『普通でない』ことだという前提があるからです」

「社会では、レズビアンは悪いことで嫌なこと、異常なことだと教えられています。子どもの差別的な発言、レズビアンに否定的なメディアの報道、教師や親が見せる同性愛嫌悪もすべて、私たちに女性の同性愛に関する否定的な感情を抱かせます。その結果、成長して自分の性的指向を受け入れるようになったレズビアンは、自分自身を本質的に悪いものだとみなすようになるのです。自己嫌悪と羞恥心がメンタルヘルスの悪化につながることは明らかです。たとえ学校や大学、職場が厳しい罰則を設けていじめに対処しても、クラスメイトが“成熟”していたとしても、こうした原体験を拭い去ることは困難です」

「レズビアンのアイデンティティは、本質的に孤独です」と、マヤさん。

「私のように、同居人にも告げていない場合、その孤独感はコロナ禍でより大きくなったことでしょう。本当の自分でいられる可能性のある唯一の場所、すなわち、学校や大学に物理的な居場所がないのですから」

またマヤさんは、レズビアンが抱える孤独に対処するには「レズビアンのアイデンティティが保証される環境を整えることが、もっとも重要だと思います」とも話しています。

「レズビアンの友人や身内には、ヘテロセクシャルの人と同じように接してください。たとえば、もしヘテロセクシャルの人に交際相手のことを尋ねるなら、レズビアンにも恐れず同じようなことを尋ねてください。特別扱いは不要です。ただ、一人で困難と向き合わなくてもいいのだと、常に感じられる環境が必要なのです」

※この翻訳は、抄訳です。

Translation: Mari Watanabe(Office Miyazaki Inc.)

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